心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年04月20日(水) てんかんについて

栃木で小学生の集団登校にクレーン車が突っ込んで6人が亡くなった事故。事故直後に運転手が「人を轢いた記憶がない」と言っていたとニュースで伝えられていたので、「てんかんじゃないのかな?」と話し合っていました。今朝のニュースでは「発作の可能性あり」となっていたので、ますますそう思っています。(違うかもしんないけど)。

突然の意識喪失はてんかんを疑ってみなければなりません。てんかんにもレベルがあり、激しいものだと卒倒(突然倒れ、口の端に泡)します。軽いものだと少し意識がぼんやりする程度。「解離だと思っていたらてんかんだった」という話も多くあります。またご老人で、元気な認知症だなと思っていたらてんかんだった、という話もあります。

発作はいつ起きるかわからず、発作とともに運動機能が影響を受けることもあるので、運転免許の条件的欠格条項になっています。子供の頃にてんかんが出ていても、成長とともに収まることも多く、また抗てんかん薬によって発作は抑えられます。発達障害と同じ脳の器質の問題であり、発達障害に含めるべきだと考えているお医者さんもいます。いずれは一つの概念に統合されるかも知れません。

アルコール性てんかん(アルコール誘発性てんかん)は、アルコールの離脱症状としててんかんを起こしてしまうもの。当然アルコール以外の薬物の場合にも起こりえます。もともとてんかんの素質を抱えていた人が酒を飲むことにより、アルコールの刺激によっててんかんが誘発されてしまいます。中には「酒を飲むまで一度もてんかん発作は起こしたことがないのに」という人さえいます。

アルコール性てんかんを起こすのであれば酒を飲んではいけません。にもかかわらず、酒を飲むのをやめられないのなら、それは依存症ということになるのでしょう。

てんかんは光刺激によっても誘発されることがあります。以前ポケモンのアニメで光が激しく明滅するシーンを流したら、多くの子供が発作を起こしてテレビ局が謝罪した事件がありました。ギャンブル依存の人がパチンコやスロットをやっている最中に意識がぼんやりしたり、途中のことを憶えていないのなら、てんかんを疑ってみるべきです。(運動機能が障害を受けないてんかんもある)。

精神病院に入院すると一度は脳波検査を受けるわけですが、脳波を取っている最中にストロボによる光刺激を受けます。あれはてんかんの検査にもなっています。発達障害の専門医によれば、この光刺激に対する反応は(アスペルガーなどの)発達障害の判定にも有用だそうです。(当然それだけを頼りに診断しているわけではない)。

アルコール性てんかんの発作で危険なのは、発作で倒れるときに頭などを打って怪我をすることです。倒れないように支えて、寝かせてあげてください。また口が痙攣している場合には舌をかみ切ってしまうことがあるので、ハンカチなどを押し込んで防ぎます。ネクタイなどを緩めて息を楽にさせ、発作が収まるのを待ちます。長く発作が続いたり、熱が出たり、興奮が収まらない場合には救急車を呼びます。

運転免許の欠格条項も見直されており、服薬で病気がきちんとコントロールできていれば、専門医の診断を受けて運転免許を取得することも可能です。てんかん持ちであることがバレるのが怖いから、という理由で医者を避けていると、日常生活の思わぬところで事故につながります。

僕はスポンシーのてんかんについて無知であったために失敗したことがありました。てんかんの有病率は0.5〜1%だそうですから、数十万人は存在します。依存症の人には(アディクションの対象が何であれ、またおそらくACの人たちにも)てんかんの人が通常より多いように思われます。てんかんに対する最低限の知識だけでも広まって欲しいと思います。

特に派手な発作のないてんかんが要注意です。もしあなたが、突然ぼんやりしてしまう人(意思疎通が悪くなる)や、日常生活で突然どっか行っちゃうなど、なんか妙な行動をする人を相手にしているのなら、「ひょっとしたらてんかんかも」という視点を持つことが大事です。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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