心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」

たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
もくじ過去へ未来へ


2010年08月26日(木) 話す脳・書く脳

たまには雑記を更新しないと心配されてしまいます。

言語の能力には、聞く・話す・読む・書くの四つがあります。
このうちアウトプットのあるのは、話す・書くの二つです。

話すこと、書くこと、両方を立派にやり遂げる人もいますが、たいていはどちらかが優勢になります。僕自身は話すことは苦手で、どうせアウトプットするなら書く方を選ぶ人です。

精神病理学は、精神病患者の内面世界を探求する学問で、病気を治療することよりも、その構造を明らかにすることをめざしました。この学問はおもに統合失調症の人にインタビューすることで成り立ってきました。というのも、統合失調の人は書くことは苦手(表現が貧弱)でも、話すときの表現は豊かで、内面が探りやすいからです。

ところが、この手法は自閉症の人には役に立ちませんでした。自閉症の人は(高機能自閉症と呼ばれるIQ70以上の人でも)しゃべって自分を表現することが苦手だからです。というか、そもそも人間の相手をすることが苦手なんですけどね。そのせいで、自閉症の精神病理は長い間謎のままだったのです。なぜ学者たちが自閉症の人に文章を書かせてみようと思わなかったのか、そのほうが謎ですけど。

やがて、テンプル・グラディンとかドナ・ウィリアムズという自閉症の人たちの自伝が出版され、その内面が詳細に分かるようになってきました。実は自閉症圏の人たちは、話すことより書くことの方がずっと得意だったのです。

そんなことから、僕は人間の脳には話すことが得意な脳と、書くことが得意な脳の2種類があるのじゃないか、と思うようになったのです。仮に前者を「シゾイド脳」、後者を「アスペ脳」と呼ぶとします。

アスペ脳の人たちは、話すことより書くことを得意していて、自閉症的なものごとへのこだわり(頑固さ)があり、意識を注ぐ対象の切り替えが苦手で、共感する能力が薄いので孤独を好む。

シゾイド脳の人たちは、逆に書くことより話すことの方が得意。だからAAでいえば月刊誌BOX-916に投稿を頼まれるのはヤだけど、皆の前で話をしてくれと頼まれたら引き受けちゃうとか。頑固さが少ないかわりに、興味の対象が移ろいやすく、共感力が高いので孤独より人と一緒にいるほうを好む。

・・・などと書いているけれど、まあ一種のシャレなので、あまり本気にしてもらっては困るんですけどね。

もちろん、書くことが得意=アスペルガーとか広汎性発達障害でもないし、話すことが得意=統合失調なんてことがあるわけもありません。でもなんとなく「そういう傾向」を感じてしまうことがあります。人と接するときに、この人はどっちが得意かな、ということを考えてみるのもいいかもしれません。

注意しなければならないのは、長く話せるから話すことが得意ってわけでもないし、ブログのエントリが長いから書くことが得意とは限らないということです。(どちらかというと、長くなるのは下手な証拠)。アフォリズム(金言、箴言)と呼ばれる言葉は短いものばかりです。


もくじ過去へ未来へ

by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


My追加