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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年08月22日(金) セデス といっても市販品の頭痛薬セデスのことではなく、処方薬のセデスGのことです。
透明な袋に入った白い顆粒で、口に含むと舌がピリピリするところが「かなり効く」という印象を与える薬でした。舌に対する刺激と効能は関係ないとは思いますけど、そこが人間の心理というものですね。
で、セデスGがなぜ禁止(というか供給停止)になったのか。
これは処方薬乱用の問題ではなく、長期連用者の中に間質性肝炎を発症する人がでてきて、これがセデスGの主成分であるフェナセチンが原因と考えられたのです。
僕もセデスGを処方されていたので、もともとアルコールで弱っている肝臓が、さらに弱ったのではないかと医者に相談しました。答えは、あなたのわずかな使用量では問題にならない。あれはあなたの何十倍もの量を使っている人たちの話だ、と教えてくれました。僕は、そんなにたくさんの鎮痛剤を必要とするほど激しい痛みを抱えながら、日常生活を送っている人が存在することを初めて知り、衝撃を受けたものです。
それほど量を使わない人でも、偏頭痛や慢性の頭痛を抱える人の中には、セデスGでないと効かないという人も多くいました。
でも、そういう事情とは関係なく、ダメとなったらすぐに供給停止にしてしまう政策です。リタリン依存問題による供給停止にしても、代替品がなかったわけで、それを必要としていた遷延性うつ病やADHDの人は、いまどうしているんだろうと思います。リタリンを使ってようやく仕事が出来ていた僕の知人は、いま生活保護で暮らしています。
市販の頭痛薬でフェナセチンを含んだ物はありませんから「セデスハイ」を買ってみてもムダです。僕も含め代替品としてロキソニンを使っている人が多いようですが、セデスの効き目が懐かしいという話をすることがあります。
セデスGには、フェナセチンのほかにイソプロピルアンチピリンやアリルイソプロピルアセチル尿素が含まれていました。実はそちらの成分のほうが効き目があったという人も多いことでしょう。セデスが懐かしいと思っている人は、そうした成分のある薬を使いたいと医者に相談してみたほうがいいかもしれません。
痛みがあって鎮痛剤を使うぶんには依存にはなりません。けれど、もともと薬物への依存傾向を持っているアルコホーリクは、1錠の薬が頭痛を楽にしてくれるのなら、もっと大量に飲めば頭痛以外の人生の問題も楽になってくれるはず、という妄想を抱きがちです。結果として過剰服薬・大量服薬(OD)をやらかして病院の世話になったりします。飲んだものが酒でなくても、やはりそれはスリップであり、ソーバーをリセットしてやり直すべきです。だって、「飲んだ薬物にたまたまアルコールという名前が付いていなかった」だけの話ですから。
アルコホーリクが薬を飲むのは危険が多い。けれど必要な薬を拒むことは正気とは言えません。安全なソーバーのためには正しい知識を身につけることが大切ですから、薬の話もタブーにせずにオープンに話し合った方が良いと思います。少なくとも、薬のことを相談できる相手を最低限一人持っていることが、生き残るために必要です。
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