心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2005年09月13日(火) 10 years ago (3) 〜 手遅れだと言われても、口笛...

10 years ago (3) 〜 手遅れだと言われても、口笛で答えていたあの頃

土日を挟んで5日ぶりに仕事へ。
復帰後初めてまともな仕事をまかされました。まあ、腕試しといったところでしょうか。
ただVB6.0は僕の嫌いな言語のひとつで、そしてコメントもなく1万行をゆうに突破しているプロジェクトは「書いた本人にもわからない」泥沼化している可能性があって、前途は多難そうであります。
クリームさんノブログの7月分を読み終わりました。軽妙洒脱な文章であっというまに一月分を読み終わってしまいました(本当に褒めているのかこれ)。

さて、10年前。

サントリー・オールドの水割りでだんだん酔ってきた僕は、週刊文春や少年サンデーといった雑誌を読むだけの集中力を切らして来ました。
仙台で隣り座った人が、車内販売から弁当と酒を買いました。僕も同じ弁当を買い、それをきっかけに会話が始まりました。酒好きの人のようでした。会話ははずんでいたのですが、僕の記憶は途中でブラックアウトします。もうすぐ東京駅というところから、記憶を取り戻すのですが、その時は相手はすっかり機嫌を悪くしていて、到着とともに捨てぜりふを吐いて去っていきました。
何か悪いことをしてしまったのに、それが何かすらわからない不安。しかもそれが前夜のことではなく、つい数十分前の寝てもいない時間のことなのです。
飲んでいた頃の自分はしょっちゅうこうした記憶の喪失(ブラック・アウト)に悩まされていました。

意気消沈して新宿駅に着いた僕を待っていたのは、「あずさ」の指定席は本日はすべて売り切れという案内と、自由席に並ぶ人の長い列でした。
(このぶんでは甲府まで座れないな)
と思うと、長い列の後ろの方で待っているのが嫌になりました。
(次の電車にしよう)
と決めて、ふたたびオールドの水割りを買い直すと、駅のベンチに座り、少年サンデーを読み直しました。ふと気が着くと、次の列車の自由席待ちの列も、もうずいぶん長く伸びていました。
(もう一本次にしよう)
そう思って再びマンガに戻りました。そして例の不思議な記憶の空白がまた訪れました。

いつの間にか長野県まで行く特急電車は案内板から消え、甲府止まりだけになっていました。記憶が飛んでいる間に、ぜんぶの列車に乗り過ごしたようでした。どうやらまた大きな失敗をしでかしたようです。

選択肢はいくつかありました。
甲府止まりの特急列車に乗っていって、そこから各駅停車で長野県まで行く手段があります。ただ、甲府から長野行きがあるかどうか・・・もう遅い時間ですでにないような不安がありました。
深夜12時すぎに、長野へ向かう夜行の急行がありました。ただ、こいつのボックスシートは固く、とても寝られたものじゃないし、通路スペースは山登りをする連中が寝袋で占領してしまいます。
カプセルホテルで翌朝まで過ごしても手段もありました。とりあえず、カプセルホテルでも、ビジネスホテルでもいいから泊まろうか・・・。そう考えて無駄にしたキップで西口の改札をでて、新宿駅西口地下を歩いていると、タクシー待ちの列がありました。

(そうだタクシーがあるじゃん)
列に付いた時には、いくらかかるかなんて考えもしませんでした。タクシーは多く、客は少なく、僕の番はあっという間に来ました。
「長野の○○まで行けますか? いくらぐらいかかりますか?」
答えは長距離客は歓迎、たぶん3〜4万円ぐらいだけど行ってみないとわからないという返答でした。懐には会社から預かった十数万円が眠っています。
「酒を買いたいので、高速に乗る前に、コンビニに寄ってください」

自宅(実家)まで帰るつもりだったのですが、長野で高速道路から離れてあまり遠くまで行くと、帰り道がわからなくなると、タクシードライバーの泣き言を言い始めたので、会社の近くの駅へ向かうことにしました。そこからまた自宅までタクシーを拾えばいいや・・・。
でも、もう体が疲れていた僕は妙案(と思えたもの)を思いつきました。

先日結婚の挨拶に行った妻(になる人)の家に泊めてもらおう。
タクシーのメーターがはき出したレシートは7万円を超えていました。無駄だとは思ったのですが、会社宛に領収書をもらっておきました。
突然訪れたにもかからず、人の良い義父(になる人)は僕を快く迎え入れ、座敷に布団を引いてくれました。「酒を飲むんだねぇ」と驚いた様子でありました。
布団を出してもらって、ついでに日本酒とビールも出してもらって、飲んで寝ました。

翌日起きてみると、もう昼でした。かなりひどい二日酔いで、残っていたビールで迎え酒をすると、タクシーで会社に向かいました。「タクシー代は今月の給料日まで待ってください」と頼んだら、温情で半分会社でみてくれることになりました。そのかわり、「危なくてとても一人では出張にやれないヤツ」という評判をいただくことになりました。

でも実を言うと、まだまだ困ったトラブルは始まったばかりなのでありました。

(この項終わり)


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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