心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2005年04月08日(金) 露出

まっとうに大学を出て会社に就職した従兄弟が「写真家になりたい」と言い出して、周囲の反対を押し切って写真学校に通い出したのがもう十数年前でした。そこそこ有名な写真家の先生の下について修行したりしたそうですが、商業写真家としては芽は出ずに、結局地元のフォトスタジオに勤務となり、結婚式の写真を撮るのを主ななりわいとするようになりました。

スタジオで写真を撮って貰うと、撮影からプリントまで一枚で2〜3万円ぐらいかかるそうであります。だから、あまりスタジオで写真を撮る人はいません。そこで、そのスタジオでは「半額くらいにしてあげるから、5年間毎年撮りに来てください。月々わずかこれだけの支払いで・・・」というプランを作って売るようになりました。

スタジオ勤めの従兄弟にもそのプランの販売ノルマが課せられ、彼は親戚に頭を下げて回る羽目になったわけであります。ちょうど幼い娘が二人いた僕は、そのプランの販売相手としては格好の餌食であったわけです。そんなわけで、ここのところ何年間か、銀行の通帳から「シャシンダイ」という名目で、定期的に出費が続いていたのでした。
まあ、お金のことは「田舎の濃密な親戚づきあい」だと思えば、あきらめもつくことではあります。

が、子供の写真を撮影すると言うことは、親も含めた家族のカットも撮影すると言うことであり、僕も着慣れない背広を着て、スタジオであーでもないこーでもないと色々な格好をしたり、作り笑いをしたりしなければならないのが、一番の苦痛でありました。

しかし、できあがりを見てみると、そこらへんの街のカメラ屋が、2階の客間兼のスタジオで撮影してくれた数千円の写真とは比べるまでもない「写真らしい写真」に仕上がるから、さすがはプロであります。だからといって美醜が変わるわけもなく、ただ「いかにも写真」であるということにすぎないのですが。

今日は次女の入学式ということで、この毎年の撮影ノルマも最終回を迎えました。

話は変わって、今週のいつだったか、午前中にNHKのラジオをつけてみたら、アルコール依存症の家族の方のことが話題になっていました。こうやって、メディアに依存症という病気の存在が露出することによって、世間の認知が進んでいくことが、一番の病気の予防・治療に役に立つのではないかと思うのであります。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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