治らない病気 - 2003年01月02日(木) ジェニーのおじいちゃんは手術を受けなくてよくなったらしい。 それは「いい結果」だったということじゃないんだけど。 つまり、手術するには手遅れだったってこと。 ジェニーは最初から反対してた。90歳のおじいちゃんに耐えられる手術じゃない。膵臓をオープンして、また閉じた。お昼休みにお母さんからの電話で聞いて、ジェニーはほっとしてた。 体によけいな負担もこれ以上の痛みも与えずに、残された時間をおじいちゃんのためにハッピーにしてあげればいい。死ぬということは不幸なことじゃない。天国に行けば、痛みは全部なくなって幸せに幸せに暮らせるから。 昨日マジェッドは、自分の病気のことをジェニーに言ったことを後悔してた。 ジェニーは知ってた。わたしがマジェッドから MS って聞いたとき、泣きそうなくらい心配でジェニーに聞いてもらったから。 ちょっと不自由なマジェッドの右手をジェニーが「大丈夫?」って聞いて、話の成り行きでマジェッドは MS のことを「言ってしまった」って。 「あたしたち病院で病気の人助ける仕事してるんだよ。どんな病気にだって偏見なんか持ってないよ」って言ったけど、「そうじゃなくて」ってマジェッドは言った。 そんな大変な病気を持ってたらなおさらつき合うのイヤだろうなって言った。 確かにそういう人はいる。っていうより、多分大半の人がそうで、それは多分自然の感情だから、そういう人を責めることは出来ない。 ジェニーはそういう子じゃない。知っててマジェッドに手のことを聞いたのは、彼女の思いやりだよ。マジェッド、言えてよかったじゃん。でもマジェッドがそんなこと気にしなくちゃいけないなんて、不公平だと思う。マジェッドの病気、なんとかしてあげたい。 今日 Prader Williユs Syndrome の患者さんを診た。 勉強はしたけど実際に患者さんを診るのは初めてだった。まだたった25歳の男の子。 何言ってるかわかんない患者さんの話を、ドクターが根気よく聞いてあげてる。こんなドクターはほんとに嬉しい。 妹からひんぱんに電話がかかる。母は泣いたり喚いたり怒り出したりやっぱりおかしいらしくて、妹は途方に暮れてる。自分の病気も調子が悪いらしい。日本では治せない病気。治そうともせずに、治療を拒否する。日本の医療システムのポリシーがさっぱり理解出来ない。 治らない病気。 ほんとに不公平だと思う。 もうすぐあの娘の命日。 今日もお祈りする。 世界中の子どもたちが幸せになりますように。 世界中の苦しんでる人たちが幸せになりますように。 肉体的にも精神的にも経済的にも、ひとりひとりの苦しみが少しでも薄れますように。 -
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