雪 - 2002年12月05日(木) 朝起きたらカーテン越しに空が黄色かった。 不思議に思ってカーテンを開けると、外がまっ白。 予定通りにロングコートを着て、玄関を出る。 傘を忘れたけど雨じゃないからいいやって思ってたら、みるみるうちに黒いコートが白くなる。車に積もった雪を落として、コートはますます白くなる。 嬉しい。 ヒーターをがんがんかけて、窓を全開にして走る。 雪がひゅんひゅん入って来て気持ちいい。 嬉しくてカダーに電話した。 「寝てたの?」「ヤー」「起こしてごめん」「ヤー」「雪降ってるよ」「ヤー。知ってる」「知ってるの?」「ヤー」「嬉しくて電話したの」。寝ぼけた声でカダーは少しだけ笑う。「今仕事に行く途中。起こしてごめんね」「ヤー」「じゃあまた寝て。バイ」。バイも言わずにカダーは切った。眠たい声の「ヤー」ばっか。起こしちゃって悪いことした。 一日中降ってた。どんどん積もった。 仕事しながらホールウェイの突き当たりの窓に行っては外ばっかり見てた。 みんな雪が嫌いって言う。雪かきが大変だって。車の運転もコワイって。それに、溶けてドロドロになるときが汚くてイヤだって。いつまでも溶けないでカチカチに凍るのも嫌いって。帰り道はほんとに怖かった。それでもわたしは好き。うちに帰るとシャーミンが雪かきしてる。大変そうだったけど、お手伝いもしないでこってり生クリームみたいに積もった雪を眺めてた。 あの娘も雪が大好きだった。大好きで大好きで、ビーチに積もった雪の中を走り回って、バタンと突然倒れたのが初めての発作だった。死んじゃったのも雪の日で、「よかったね、雪降って」って、笑ってるみたいな顔して冷たく固まってるあの娘を抱えて言った。雪が降るたび思い出す。雪が降るたびあの娘がそばにいるような気がする。天国には雪は降らないから、「ゆき、ゆき」って遊びに来てるような気がする。 あの人が電話をくれる。 「雪降ったんだよ、今日。積もってるよ」 「見たいなあ」 「見においでよ」。 雪が降るたびおんなじこと言ってる。雪が降るたび会いたさが募る。雪が降るたびあの人の好きな雪が嬉しい。雪が降るたび雪の中で一緒にはしゃぎたい。 カダーは雪が嫌いって言ってた。 みんなとおんなじ理由だった。 ほんとは好きなくせにって、なんかそう思う。 ほんとは好きなくせに。 そう思いたいよ。 -
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