天使の衣装 - 2002年11月09日(土) 銀行にお金をおろしに行く。 靴屋さんのショウケースに並んだブーツを眺めてたら、目の前に紙切れを差し出された。 ずっと声かけてたらしい。気がつかなかった。 あなたに近づいたらものすごい揺れを感じたの。 心配だから、いらっしゃい。 あなたは自分の将来のことを知らなくちゃいけない。 幸せになる糸口を探さなくちゃいけない。 白い紙切れにはサイキックって文字が書かれてた。 「ありがとう」ってだけ言って、紙切れを4つに折り畳んでポケットにしまった。 興味ないふりして靴屋さんのショウケースをそのまま覗く。 もういいかなって振り返ったら、サイキックのおねえさんは反対の方向を見てた。 別のターゲット探してる。 グレイのロングスカートがかわいかった。 ちょっと心が揺れたじゃん。 だって自分のことがわからない。 なんでいつもいつもこんなに痛いのかわからない。 サイキックって、信じてる。 いなくなった猫の行方を聞きに行ったことがある。 全部言い当てられた。 ついでにあの娘のことまで言い当てられて、泣いた。 だから行かない。でも、 カダーの将来を知りたいと思った。 何思ってるんだろ。 ベッドのシーツを剥がして、ランドリーに行く。 下のシーツも上のシーツも剥がして、ピローケースもみんな剥がして、ベッドカバーも一緒にランドリーバッグに詰めた。 洗濯してももうまっ白じゃないシーツでベッドメイクしながら、新しいシーツを買いたいって思った。ブルーのシーツ。なんとなく。 蒼い蒼いシーツの間に挟まれて眠りたい。 電話が鳴る。 カダーと思った。この前も、携帯じゃなくてうちの電話にかけてきたから。 別れた夫だった。別に自分のことを何か話すわけでもなく、わたしから聞いても「まあまあ」とか答えるだけで、「元気ないじゃない?」って言っても「そんなことない」って言うだけで、「仕事どう?」とか「何か変わったことあった?」とかわたしのこと聞くけど、いろいろ話してみても関心なさそうで、何の電話かよくわかんなかった。奨学金の返済が大変だから半分助けてくれたら嬉しいなって言ったら、プツッて切れた。 また電話が鳴って、カダーだと思った。 あの人だった。 明るい声。曲が上手く行ったみたい。なんか新しい計画があって明日実行しに行くとかってはしゃいでて、よくわかんないけど嬉しい。 「明日も電話するね」って、無邪気に駆け回る天使が言う。 なんでわたしはカダーの幸せを考えるんだろう。 あの人は本物の天使で、カダーのルームメイトもルームメイトの友だちも天使の衣装を着せたらわりと似合いそうだけど、カダーだけは絶対似合いそうにない。 だからかもしれない。 -
|
|