誰にでもじゃないのに - 2002年08月21日(水) ビーチで撮った写真をコンピューターに取り込んで、見る。サイズを変えたりトリミングしたりしてからカダーに送った。仕事から帰って来てメールをチェックしたら、返事が来てた。ふたりで写った写真は「一番最初のが好きだよ。いい写真だね」とか、カダーがわたしにポーズをつけて撮った写真は「全部いい。僕が撮ったからじゃなくて、きみの写真全部いいよ。最後の2枚がとりわけ好きだけどね。You look so sexy」とかって、なんか笑っちゃう感想つけて。 カダーが好きって書いてたふたりの写真は、ふたりがくっついてるヤツじゃなくて、カダーのほうを向いて思いっきり大口開けて笑ってるわたしの横顔と、やっぱりわたしのほうを向いて笑ってるけど、ちょっと引いてるカダーの斜め横顔のヤツ。 カダーがふざけてちょっとエッチなポーズをつけたわたしの写真は、どれも子どもみたいに笑ってるし胸はほんっとになんにもないし、ちっともセクシーなんかじゃない。 「ほかの写真は? 送ってくれないの?」って最後に書いてあった。 わたしが沖のほうで泳いでるあいだに、エスターが連れてきた女の子をカダーが撮った写真。何枚もあった。ふたりで写ってるのもあった。マジェッドに撮ってもらってた。「シンクロナイズドスイミング!」とかって足を水面からにょっきり出してふざけながら、沖のほうからちゃんと見てたから、知ってる。エスターが連れてきた女の子はグラマラスで、口を開けないでふんわり笑って帽子のつばに片手を添えたりして、セクシーだった。 送ってやんなかった。 今日電話をくれた。昨日はかけられなくてごめんって言った。それから、「あとの写真は送ってくれないの?」ってまだ言ってる。 「あとの写真ってどれのこと?」って、わたしは笑う。 「あれ? 妬いてるの? 妬いてるな?」 「No, no, no」。調子をつけておどけて言って、また笑う。 送ってやんない。 送ってやんないけど、「妬いてる」なんて絶対口にしない。 友だちだから。友だちだから。友だちのふりに徹しなきゃいけないから。 口にしたら止まらなくなっちゃうから。止まらなくなって、また病気って言われるから。そしたら友だちのふりさえ出来なくなるから。 妬いてるわたしがくやしい。 カダーと一緒に写ってるわたしが、とびっきり幸せそうに笑ってるのがくやしい。 「きみの笑顔が好きだよ」って、「きみの笑う声が好きだよ」って、カダーはいつも言うけどね、誰の前でもこんなに幸せそうに笑うわけじゃないんだよ。誰にでもはこんなふうに笑いやしないよ。誰にでもは、きっとこんなふうに笑わないのに。誰にでもじゃないのに。 ねえ、わたしあなたの前で、どんな顔して笑ってた? 覚えてる? あなたに今、とびっきりの笑顔を送りたい。 -
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