航海日誌

2002年07月05日(金) 破壊と再生の序曲。

こんばんわ。四亜です。
なんとなく魔笛な気分ですが。(笑)

とうとう、ピアノを手放すことになりました。
長かった。
もうこれ以上維持するのは、調律だけでなくなるので、この機会に回収してもらうことにしました。
でも、マンションの4階なので、クレーンを使うんです、多分。
そして、私のピアノ、マイナーのせいか、古すぎるせいか、金がかかるんです。そういうわけで、ピアノが置き物になってる人って結構いると思う。

今回は、あと4年も調律代を払うなら、今お金を払ってひきとってもらった方がいいよね、ということで、母がおおむね乗り気で決まりました。

父は、もともと父がこのピアノのフォルムを気に入って買ったものであったので、少し未練があるらしいです。

メーカーはルヴィンスタイン。自分でも調べてみたけど、この名前の音楽家はいたけど、よくわからない。
買った当時、私は小学生でしたが、その時すでにアンティークだったので、話を聞くと大正くらいのタイプらしいです。よく知りませんけど。
実はヤマハとかカワイならもっとリサイクルができたのかもしれないけれど、個人的には自分のピアノの音って気に入ってます。
良いピアノではないですけれどね。
ヤマハ…ピンキリでしょうけど、少し上品すぎるんです。私には。
カワイ…これもいろいろあるでしょうけど、優しすぎるんです、私には。
例えるならヤマハが紳士で、カワイはジェンヌ。

さて、回収されたピアノはどこへ行くかというと、今は浜松のヤマハの工場?らしきところへ行くようです。ヤマハかどうかは知らないけど、浜松らしい。そこで多分使える部品などをリサイクルするのでしょうか。

ヤマハというと、先日テレビでヤマハで働く人が写っていて、(メーカーはでなかったが多分そう。)とっても素敵だったから、ああ、やっぱり音楽を好きな人で、好きな仕事ができるってほんとうに、良いなぁとしみじみ思いました。ああいう会社って素敵ですね。
会社も遊びココロがないとダメです。(と思う)

そういえば、私の友人も実はヤマハに勤めているのですが、最近会って無いのでわからないです。元気にしているでしょうか。忙しいらしいですけど。

ピアノは中古で買いましたが、中身はすべて新品にしてもらった私のピアノ。思えば随分長い付き合いです。
ヤマハでは友人がやっていたからという単純な理由で、いつものように練習さえしなかった。
個人の先生になってからは、とても人間的にヤバイ人だったので、練習していかないと、先生に鉛筆で指をさされて。痛かったり。痛かったり。
個人の先生で、その次のところは、若い先生だったけど、神経質そうな感じの人で、実際にやっぱり神経質で、どうしてこんな子供に教えなくちゃいけないのかしら、みたいなのが態度に出る人だったから、いつも憂鬱でした。
それでも好きだったから、続けてこれたのだけど。
ちなみにその先生が結婚して性格丸くなってからは、そのお母さんに教わって、その人はハープの奏者だった。グランドピアノはとても素敵。
音が違います。まるで世界全部が音に満たされてしまって、密室の中の空気が全部音に変わってしまうような。
そういう世界で、つかの間自分がどこにいるかもわからなくなります。

しばらく続けていたけれど、受験やら何やらで練習しないと指が動かなくなるんです。それで、もう以前のようには弾けないことがわかるととても悲しくて、だんだん離れてしまって。
時間。
絵を描く時間。書を書く時間。音楽を聞く時間。音楽を作る時間。お茶を飲む時間。笑う時間。静かにじっと空気に溶け込んでしまうような、
そういう時間を作れないのは、とても悲しいこと。
ココロに必要なエネルギー。
しばらくのお別れです。

でも私は諦めが悪いので、いつかまた生で演奏を楽しめる環境を作るけどね!だから、それまで。
ほんの少し、お別れなのです。


おつかれさま。ありがとう。
ありがとう、ありがとう。
楽しかった。苦しいことがたくさんあった。
でも。
大好きだった。そして今も。
音が好き、鍵盤を押した時の木の音も好き。ペダルをふんだ時のやわらかな心地、指にすいつくように鍵盤がまるで生き物みたいに踊る。
そういう瞬間が好き。
音符が駆けめぐってどんどん、どんどん、体中に音が満ちる。
そして指先から一斉に飛び出していく。
忘れない。
忘れない。

きっと私は自分の子供にピアノを教えることはないだろう。
あの瞬間はわたししか知らない大切な記憶と時間だから。

さようなら、わたしのいとおしいもの。
少しだけおやすみなさい。いつかまた出会う日まで。



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