きりきりに忙しい!と云うほどではないが、そうのんびりとはしていられない。そんなくらいのお仕事スタンスの日の事。
隣席の同僚(男性)が外出先から戻り、言った。 「ところで、桜さん」 なんでしょう?この脈絡の無い“ところで”は。 「甘いもの、好き?」 ええ、好きですよ。主旨も、まあ唐突な事。 「あっちの部屋に、あとで行ってみて」 あっちの部屋って、打ち合わせとか、会議に使っているとこ?……はぁ?何故に?? 「ケーキあるから」 はぁい、行ってきまぁす☆ 「よく味わって、感想聞かせてね」 え、感想?? 「俺が作ったから」 …………。すみません、いま、なんとおっしゃいました? 「俺の手作り」
くらり、と意識が遠くなった。 黙っていると、怒っている様な顔つきで、がっちり体型で、食べ物だったら、大皿料理か丼ものがいいという、そんなあなたが作ったと!?
くらくらしながらも、自席を立ち、ケーキを食べに行く。 途中、同僚の女性が、「お、ケーキ?いってらっしゃい」という。彼女は既に食べたようだ。
ケーキを切り分け、紙皿を出している人たちに「おお、来たね〜」と迎えられる。 チーズケーキだ。結構大きいぞ。直径20cmはある。 ホールの半分は綺麗な焼き色だが、もう半分はやけに白い。 「焦げすぎちゃったんだって。少しはがしたの」 切り分けてくれた人がそう言って、ワタクシに皿を寄越した。 綺麗な焼き色を、一口。
「美味しい……」 うっそー、美味しいよ!! さっぱりしっとりのチーズケーキ。もう少し、チーズが濃くてもいいかな。でも、このしっとり感はいいね!!
しかし、彼は会社に来る前に、他所の会社へ会議に出ていたはず。まさか、ケーキを持って会議に出たわけじゃないだろう。 ということは、会議に出たあと、一度自宅へ戻ったのか?
くらり、とまた意識が遠くなった。でも復活。 ホントにケーキが美味しかったから。
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