正直、「もったいない!」と強く思った。
3時間位ボリュームがある内容を、無理矢理尺を詰めました、ってストーリー運び。 きっと、本では個人の葛藤が複雑に、魅力的に書かれているんだろうけど、(今までの福井さんの本からすればきっとそうだ)映画では惜しみなく、いや、不本意ながらも削らざるを得なかったんだろうが、あくまでも全体の流れは……伊507を中心としたみんなの事だから。 回天特攻隊員として拘る清永、とか。「自分たちには絆があるから」と南方戦の不条理さを訴える田口のクーデター(っていうのか?)に加わったいきさつの情の流れとか。 へ?それが何か?みたいに思っちゃうほど、あっさりと触れるだけ。 くう〜〜〜〜!それならもっと、徹底的に浅倉大佐対絹見艦長の図式でやってもらいたかったなあ。アソビどころがなく緊張しっぱなしで疲れるかもしれないが。 それに、謎のシステム「ローレライ」そして、パウラの存在が分かったとき、次のシーンでは、艦内の皆に受け入れられている。少々の疑問は呟かれても、なんか、それだけ?
ストーリー全体としては見所のあるシーンが続いている分、深く掘り下げるだの、突き抜ける山場だの起伏が足りないのでは、と思った。そんな訳で、「もったいない!」になるわけだ。
映像表現に関しては、重量物体の表現が向上したね!それでも、まだまだヘヴィ感が物足りない。やっぱり難しいんだなあ。急浮上、急潜水の動きは早くて美しいんだけど、早すぎ(笑) 水の動きもとても綺麗で、綺麗な分、空がすごく浅く感じた。ま、作り物だけど、それ以外に“夏の晴天の空”じゃないだろう、あの色は。 あー、それから、音が入りすぎ!緊迫した台詞のやりとりのシーンは、BGMはいらないよぉ。特に冒頭の浅倉が絹見に伊507の事を話す辺りは。こういうシーンは微かな衣擦れや呼吸音だけで十分だよー。まあ、この辺は完全に好みの問題だけど。
で、ステキなトコは。 潜水艦内で展開されるシーン……ま、それが大部分なんだけど。スッゴイ良いっすよ。艦内の狭さが!総員配置に走るところなんか、もー潜水艦内でないとありえないくらいの狭さ! アナログな機器類に不似合いな、2005年現在でも存在し得ないローレライシステムとの組み合わせ。 映画ラストの伊507を追い詰めようと米国護衛艦・駆逐艦のひしめき合う画! も、ス、スゴイ。と口ぽかーん。の状態だった。
生身のシーンでは、 伊507が米国へ向かう途中、下船するものと残るものとに分かれ、軍医長が下船する下士官に「これ、持ってけ」と自分のカメラを手渡す。 爆撃の衝撃で電源が飛び、手動で電源回復をしなければならなくなった時。艦内は浸水して主電源室にも水が入り込んでいる。そんな中で無言で回復に向かう木崎先任将校。
で、今後の課題はというと、オールレンジ対応エンターテイメントって難しい、だなあ。でも、もっと、見せてくれ、だな。
|