| 2008年06月10日(火) |
秋葉原惨劇の「天声人語」 |
一昨日また「誰でもいい」殺人が起こった。 トラックで人混みに突っ込み、 トラックを降りてからナイフで何人も刺して歩いた。 最初からそうする予定だったようだ。 死傷者17人、そのうち7人が亡くなった。 被害者にとってはもっとも理不尽な被害である。
さらにますます驚いたのが、犯人のケータイ掲示板への経過報告。。。 ナイフをわざわざ福井まで買いに行ってることといい、 トラックを借りるくだりや、秋葉原下見までしてるらしいことも含め、 あの一連の書き込みを見ても、 とてつもなく大それたことをしようとしている、という気持ちが まったく感じられないのが、不思議だし恐ろしい。 「停車やUターン」の兆しも感じられない。。。
・・なんて書き始めたら、べらべらエキサイトして書きそうなので、 今朝の「天声人語」を貼りつけて保存しておくことにしよう。 冷静できわめて簡潔ながら、特に最後の2段落に、 多くの人たちの思いが凝縮されているのではないかと思う。 「他者への鈍感と自己愛との途方もない落差」というまとめの言葉に とりわけ感心してしまった。
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男が取り押さえられ、横たわる道端の看板に「激安商品大量展示」とあった。近くのビルの劇場では、女性アイドルグループが公演中だった。日本の消費経済とオタク文化を象徴する街「AKIBA」での惨劇である。
日曜日の昼、東京・秋葉原を襲った殺傷事件。のんびりと始まった電気街の歩行者天国で、7人が亡くなり、10人が重軽傷を負った。逮捕された男(25)は「人を殺すために秋葉原に来た」と語ったそうだ。魔が差した、のではないらしい。
まじめで無口という派遣工員の中で、何が爆発したのか。静岡県内でトラックを借り、ナイフを携えて東名高速に乗る。「無差別計画殺人」の暴走に、停車やUターンはなかった。
男は3日前から、携帯サイトで犯行をにおわせていた。当日には秋葉原と予告し、行動や心境を約30回も書き込んでいる。「人がたくさんいる」と選ばれた街の、その日その刻。南北にゆったり流れる人波を、西から東へと殺意が切り裂いた。両者が交わる四つ角に、犠牲者は居合わせた。
男は「世の中が嫌になった」「生活に疲れた」と漏らしたという。このご時世、仕事の悩みや日々の暮らしに押しつぶされそうな人は、いくらもいる。目をこらしても、そこから17人殺傷に至る線が見えない。
「誰でもよかった」とうそぶく者は、どの「誰」にも懸命な人生があり、大切な人がいることに思いが及ばない。それでいて、身勝手な「計画」を冷めた文字列で誇示し、実行に移す。他者への鈍感と、自己愛との途方もない落差に、ただ慄然とする。
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