TENSEI塵語

2008年02月26日(火) 「デス・ノート」今、第10巻

なかなか続きを読めずにいた「デス・ノート」を昨夜再び読み始めた。

死んだ探偵Lと同じ施設から出てきたニアの推理がすごい。
まさしく、第2のLだ。
ニアはもうライトがキラだと確信して操作を進めている。
ニアのために自分は1番になれない劣等感から別路線をとるメロもいる。
メロとのノートの争奪戦によって、ライトの父の総一郎は死んだ。
メロを抹殺してノートを奪還する作戦だったが、
日本の警察官としての良心のために、メロを殺せず、自身が撃たれて死んだ。
こういう経緯も映画にはなかったことだ。
ライトの宿敵だったLを死神の手で死なせたものの、
ライトにとっては、そのLが2倍になって帰ってきたようなものだ。

さて、これも映画では省略されていたストーリーだが、
ニアに追いつめられたライトは美沙のノートを魅上照という青年に託す。
友人でも知人でもない、キラ崇拝者として登録していた人物に過ぎない。
その魅上の生い立ちの物語が簡潔に挿入されている。

照は、幼少時から周りをよく観察し、物事をよく考えることができた。
正義感が強く成績も優秀だった照は小学校中学校と常に学級委員を務める。
それは照にとっても勲章であった。
自分の責任を以て、自分のクラスを全校、否、日本一のクラスにするよう
自分に誓い、行動した。
しかし、そこにはその正義感を煙たがる者もいたし、
必ず、悪、敵、が存在した。

(ここで教室内の暴力的ないじめの場面。助けに入る照)
照は悪に立ち向かう。
だが、時には正義が負けているようにも見える。。。
周りの者にもそう見えていただろう。
他の子供の冷ややかな視線すら感じることもあったが、
照は使命感からやめはしなかった。
どんな目に遭おうと、喜びさえ感じていたのだ。
それは、被害者の「ありがとう」の言葉だった。
時には、加害者の子の方が照の執念に負け、
また時には、クラスのほとんどの子を見方につけ、自分の正義を証明した。

しかし、それができたのは小学校まで、、、
中学校になると、照が正義を死守することは難しくなっていく。
悪に立ち向かうと、必ずその悪は照と被害者の両方をターゲットに
してくるのはもちろん、傍観者だった者までもが照の敵となっていく。
加害者が傍観者たちに照や被害者への暴行を強要し、皆が敵になる。
もう照の味方になる者も存在しない。
常に回数などわからぬほど殴られ、時には木に吊され、時には裸にされ、
皆の嘲笑の的にされた。
それでも歯をくいしばり、正義を貫こうとする照ではあったが、
被害者を救うには、加害者たちがこの場から削除されるしかないという
考えに至るようになっていく。

そんな照を、唯一本気で心配してくれたのは、照の母だった。
母を味方と信じる照はすべてを話す。
しかし、母の答えは、
「世の中、すべて自分の思い通りにはいかない。
 照がやられる理由はないのだから、もうやめなさい」だった。
それは照の身を心配しての言葉だったのだが、照にとっては、
「間違っている」
「この親は正義ではない」
「自分が正しい」
この時、照は心の中で、母さえも完全に否定する。。。

そして、奇跡、いや、偶然は起きた。

加害者であった4人が、無免許で車に乗り、暴走したあげく、
壁に激突し、4名全員が死亡。
その無謀な運転に幾名かの一般人が巻き添えとなり、その中の1名が死亡、
それが、照の母親だった。

自分が否定した者の削除が、1度に起きた。
最初は恐ろしかった。心から震え、涙も出た。
しかし、この削除で、喜ぶ者が確実にいるはずなのだ。
被害者であった子は絶対に喜んでいる。
いや、その子だけではない、クラスのほぼ全員が、
心のどこかで喜んではいないか。。。

間違っていなかった。
数日後、そこにあったのは平穏なる教室、清々しい笑顔。。。
この現実を目の当たりにし、照は、
「悪いことをすれば報いがある。
 それでいい、、、そうあるべきだ」と考えるようになる。
そして、
「悪は削除されればいい」
照のその気持ちは強くなっていくのだ。

優秀な成績で、高校・大学と進学していく照。
そこにも必ず、存在価値のない、いや、その存在が害となる悪がいた。
そういう者を見るたびに、照はそれを正そうと努力したが、
成人に近くなるほど、その改心は明らかに望めない。

「改心できない者は、世の中から削除された方がいい」

それが世の中のため。
照の考えは、ますます強固なものになっていく。。。


そして、「悪を裁くことこそが正義」という信念が固まった魅上は、
検事こそ天職と考えて検事となった、、、その時、
キラの犯罪者の征伐が始まったのだ。
魅上は、キラの登場を神の降臨とし、キラを崇めていた。
そして、キラからノートを託され、自身も神になったと信じた。


魅上照の登場で、この物語の問題性が一層深くなったように思う。


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