TENSEI塵語

2006年09月26日(火) 昔書いた人形劇台本(その2)

昨日の続きで、第2場からを写しておこう。

中に出てくる「人勧書名」というのは、給与や人事に冠する要求を並べた
署名で、組合員か否かを問わず、ほぼ全職員が署名に応じてくれるが、
まれに絶対に組合の署名はせんぞ、という人もいるのである。
また、「加入書」というのは、組合に新規に加入する申込書のことである。
県内の小中学校のような、全員加入の御用組合でなく、
組合つぶし策の一環である「教育会」の設置の影響もあって、
組合の組織率が落ちており、組織拡大ということが運動の要のひとつだった。
そのころ私がいた支部は、他支部と比較すると拡大の進んだ方で、
冗談の好きな支部長は、5人(3人?)入れた分会にはサントリーオールドを
贈呈すると言ってハッパをかけていたのである。
実際はひとり2人入れるのもたいへんな状況だったので、
そういう分会は1校あるかないかというくらいだった。

なお、ここでは「F」とか「○○子先生」とか「○○分会」にしてあるが、
もちろん、もとの台本では実名のとおりで書いてある。
「F」は以前から有名人だったし、
「○○子」はその会で新加入者のひとりとして紹介される予定だったから、
この中に実名で登場させるのも、座興の大事な要素である。

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         2 署名拒まるるの場

F   すみません。人勧署名お願いしまーす。
甲   何や、それ?
F   さっき配った職場新聞に書いてお願いしておきましたけど、、、
甲   今鼻かんだ紙かな? 何ならもう1回広げよか?
F   給料値上げの要求署名で、全員の方にお願いしてるんですが、、、
甲   何人書いた?
F   まだひとりです。
甲   あんたひとりやろ。
F   当たった。
甲   10人回ってみんなに断られたやろ。
F   当たった。
甲   そんなつまらんことやっとる間に、
    喫煙かバイクでもつかまえて来い。
F   しかし我々は、働く者の生活と権利を守るために、、、
甲   わしゃ、そんなはした金上げてもらうより、管理職になった方が
    ええなぁ、、みんなもそう思っとるわい。ヒッヒッヒ、、、
F   (気を取り直して、乙に)人勧署名おねがいしま〜〜〜す!
乙   おう、給料は上げてほしいけど、僕は署名はせん。
    君たちでやってくれ。頼むよ。
F   (呆然とするが気を取り直し、半泣きになって次の新任に向かい)
    あの、人勧署名お願いできますか?
教頭  (突然Fの前に現れる)
    おい、職員室で組合活動なんかやってもらっちゃ困る。
    そんなもんは標本室で取れ、標本室で。
F   勤務時間外ならいいはずですが、、、
教頭  そんなことは聞いたことがない。
    とにかく、職員室でやってもらっちゃ困る。
    生徒に見られたら教育上悪い。
F   めっちゃめちゃなこと言わんで下さい!
新任  F先生、この場はここで引き下がってください。
    僕がこの署名を書きましたから!(と紙を出して渡す)
F   (紙を受け取って何度も見直す)加入書だー!(気絶する)



        3 新規加入者続出の場

F   (名古屋弁丸出しに翻訳して読んで!)
    わはははは、、、おもしろくて笑いが止まらん。
    ついこの間まで3人しかいなかったのに、
    あの新任が、1カ月で20人も入れてまった。
    若い連中はもうみんな組合員だ。
    支部目標30人も、その内うちの分会で独占だ。
    商品のオールドもごろごろしとる。
    30人入れたら、支部長からベンツがもらえることになっとる。
    支部長泣いてまうに。ああ、気持ちええ。
新任  (紙を持って入ってくる)先生、またひとり入りましたー。
F   (名古屋弁で。以下同様)誰、誰?(紙を見て)え?あいつが?
新任  どうやら○○子先生がおめあてのようですがね。
F   意地汚ねぇ野郎だな、まったく。。。
甲   (登場。太鼓持ち風に)や、どうも、こんち、お日柄もよろしゅう
    あたいも仲間にいれていただきやすんで、どうぞ、
    (大きく抑揚をつけて)何とぞよろしゅうお願いいたしやす!
F   (紙を投げ捨てて)お前なんか入れてやるか、たわけ!!
甲   ど、どうしてでございますか!?
    私はずーーーっと前から組合活動に憧れておりました。
    組合なしには、わ、わ、わ、我々の、えーーー、せ、性格も、
    いや、せ、せ、せ、生活も、ま、ま、守られま、せんし、、
    きょ、きょ、教員も、し、し、死んだ、、じゃない、
    し、し、し、し、真の。きょ、きょ、教育は、、、、
F   どもるな、そんなとこで。
甲   と、とにかく、私も入れてください、お願いです。
F   おい、君が若い教員を全員引っぱってくれたのはいいけど、
    こんなのまで入ってくるとなると、、、、どうしよか。。。
新任  学校を良くするためには、こういう人の協力も必要になるんじゃ
    ないでしょうか。
F   あ、ありがとうございます!! 私を仲間外れにしないで下さい!
乙   (端に現れて)あのう、、、、(加入書を持っている)


        4 再び職員会議の場

教頭  ・・というわけで、この件につきまして皆さんにご審議いただき、
    最後に採決によって決定といたしたいのでございますが。。。
F   あれ? 校務委員会で決定じゃないんですか?
教頭  やはり、日本は民主主義の国歌でございますもんですから、
    本職員会議も憲法の精神に則りまして、
    職場で全員の意見を闘わせまして、共通理解を作って行くのが
    当然の方法であると存じております。
    (独白)・・畜生、40人も組合に入れちまいやがって。
    エ〜〜ン、権力のない教頭なんて意味がないヨォ〜〜。。。
    ヒトラーみたいにいばりたいヨオ〜〜。。。
    淋しいから、わしも組合に入れてもらおっかなー。。。

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さて、この人形劇は、支部のイヴェントの余興である。
退職者と、その年度に入った新しい組合員を激励するだけでなく、
青年部を元気づけ、また、組織のなかったある学校に分会ができたことを
祝福し激励する催しでもあった。
だから、私自身は次のように最後を締めるのは嫌いなのだけれど、
その会の余興に相応しいように、当然幕切れはこうなるのである。

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        5 眩き陽光の場

F   いやぁ、まったくすばらしい職場になった。
    これもみな、君のおかげだ。
新任  この現代の状況の中で、組合に入って闘うことは、
    教育者として当然です。使命です!
F   些か歯が浮かないでもないが、、、いや、まったくそのとおりだ!
    そして、君のような若い教員こそ頑張らなきゃならない。
新任  はい。
F   青年部がたるんでいてはいけない。
新任  はい。
F   青年層こそ先頭に立って闘わなきゃいけない。
新任  同感です。
F   初任者研修粉砕だ!
新任  やりましょう!
F   そして、若い分会こそ頑張らなきゃいけない。
新任  ○○分会に期待しましょう!
出演者一同 (人形も全部出る。声をそろえて)おしまい!

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