西日が差したら枇杷の実を食べよう
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| 2002年10月02日(水) |
カツラとメイクと愛と勇気と。『Hedwig and the angry Inch』 |
台風の中、クルマを走らせ、買ってきました。 『ヘドウィグアンドアングリーインチ』のDVD&サントラ。 これからビデオをみる人も、まだ大勢いるだろうから、 内容については書かないけれど、とにかく素敵です。この映画。
旧東ベルリン生まれで、女装のゲイで、ロックスタアで、 おまけに性転換手術の失敗で1インチだけ股間に残っちゃっているヒロインなんていう、 とんでもない設定の「ヘドウィグ」というキャラクター、 自分とはなんの接点もないはずなのに、 なぜか、ものすごく共鳴できる部分があるんですよ。 多分、それは、わたしだけでなく、 この映画を素敵だと思う、ほとんど全て人がそう感じるはず。
それはきっと、ヘドウィグの行動の一つ一つが、 性も、国籍も、職業も、年齢も関係なく、 人間なら誰もがもってる「魂」みたいなものに、揺さぶりをかけてくるからだと思う。
たとえば、そう。 誰かを愛したいとか、愛されたいという欲求や、孤独や、虚しさ、焦り、怒り。 わたしたちが、生きていく上で、毎日つきあっていかなくちゃならない、そんな風な幾つもの、シンプルな気持ちを素手でぎゅうっと撫で上げてくれるのだ。
世の中って、なんて汚いの。バカバカしいの。でも、なんて愛しいの。 カツラや、ドレスや、派手なメイクの向こう側に、 見落としちゃいけない、もっと「きれいなもの」が隠れている、そんな映画。
※DVDについているドキュメンタリーも見応えあり。 音楽を担当したスティーヴン・トラスク(映画にも出ている)と、 主演、脚本、監督のジョン・キャメロン・ミッチェルが、一時期、恋人関係にあった、 なんていうエピソードにも「なるほどなぁ」と即、納得。 わたしなんて、 何度きいても、ラストの『Wicked Little Town』のトミーヴァージョンで 不覚にも、涙ぐんでしまうもの。
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