西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2001年12月19日(水) 「映画と原作」は永遠のライバル?、運命の恋人!? 『バトルロワイヤル』

WOWOWで『バトルロワイヤル』をみた。ようやく。
なかなか面白い映画だった。いろんな意味で。
高見広春の原作をすでに読んで(それも、かなり面白く)いた為、
正直、ガッカリするとヤだなぁという不安もあったのだけれど、
そんなことは全然なかった。

ちょっと大げさすぎるかもしれないけれど、映画と原作との
ほぼ理想的な関係かもしれない、とも思った。
原作は原作で、2時間弱の映画では絶対に表現しきれない
緻密な心理や、奥深いキャラクターの背景を描いているし、
映画は映画で、たった「一瞬」の映像で、
文字だけでは決して得ることができない「感情」をかりたててくれる。

たとえば。
映画『バトルロワイヤル』の中で、私がすごいなぁと思った場面。
中学生同士の3日間の殺戮ゲームの2日目、光子役の柴咲コウが、
前夜、クラスメイトを鎌!で殺した翌朝、何、くわぬ顔で、
慣れた手つきで、ビューラーでまつげをカールしているシーン。

「バトルロワイヤル=殺人ゲーム」という常軌を逸した非日常の中にありながら、
髪を洗い、メイクをするという、とてつもなく日常的な行為を、
悠然とした態度で、淡々とこなす彼女を映すその一瞬に、
この作品の持つ「普通の中の異常さ」、
「本当の怖さは日常の中に潜んでいる」みたいなものが、
ハッとするほど、鮮明に象徴されていたように思う。

深作欣二監督。
原作を正確に解釈し、曲解することなく、しかも
それを自分のものとしてキッチリ消化した上で、
わかりやすく娯楽的な、自分なりの「オリジナル」をつくり上げている。
さすが、だ。

俳優・ビートたけしといい、深作監督といい、
好き嫌いはあるとはいえ、日本映画はまだまだワカモノよりも、
こんな骨太オヤジたちの方がパワーを持っているのかもしれない。

追伸。
アクションするたびに、はみ出した白いペチコートが
ヒラヒラする女子の制服のデザイン。
海外で上映されたら「日本の女子中学生はこんな制服を着ているのか!?」と、
誤解されそーで不安なのだが、妙にエロくて、これもまた作戦勝ちかもな。


otozie |MAIL