西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2001年05月18日(金) ホテルのドアは別世界への入り口。『ツインフォールズアイダホ』

忙しくて、みられなくて、二週間も借りていたビデオ、
『ツインフォールズアイダホ』。
昨日、無事、返却しました。

物語は、ドラマティックというより淡々としていて、
「すごくエキサイティングで面白い!」
というタイプの作品ではなかったけれど、
ヒロインが本人の意図しない所で奇妙なキャラクターに
巻き込まれていく様が、
なんだか『不思議な国のアリス』みたいで、
嫌いにはなれませんでした。

グレイグとフランシスの双子が暮らすあの奇妙なホテルは、
まるで、不思議な国への入り口のよう。

一つ一つのシーンやセリフに、
ときおりハッとするような宝石みたいな一欠片があって、
「あなどれないぞ、ポーリッシュ兄弟!」
(主演の双子ちゃんで、脚本、監督も彼らなのよね)
と思いましたね。

余談ですが、映画をみるときは、
なるべくこころを「まっしろに」というか、
「ニュートラル」な状態にして、
二時間前後のフィルムの中に閉じこめられた
さまざまな『感情』を、アンテナのように
自分の心の中に取り込み、味わう。
これが、私の映画の楽しみ方。

だから。
私がこれまで生きてきて、あまり味わったことのないような種類の
『感情』を体験させてくれる映画が、
わたしにとっての、おもしろい映画。

そういう意味ではこの映画。
登場人物一人一人が、童話の中のキャラクターのように、
現実感がまるでなく、
「感情移入」という切り口からは、ちょっと物足りなかったのですが、
(↑これは作者の意図するものかもしれません)
「夢と現実。家族と個人。自由と孤独」について、
なんだかほんわりと、考えさせられました。

単調でシンプルだけど、受け手によって、
いくらでも奥深く解釈できるような。
ちょっと、ヨーロッパの古いメルヘンみたいな映画です。


otozie |MAIL