就職差別、結婚差別に満ち、・・・人間としての生活も十分に保証されない、差別意識が普遍的に漲っている欺瞞と虚飾で構築されている・・・この日本の現実社会にあって、部落三百万人がそのままで惹きつけられるような古典など、残念ながらこの国にはほとんど存在しない。・・・地べた(大地)を離れた瞬間から人間も芸術も堕落するといいたい。・・・私は、私の肉親たちが使い、近隣の土地のない人たちが使ったこれらの言葉と、それにつながる多くの言葉たちを、屈辱に地獄鳴りする自分の五十年の人生とともに、いまがっしりと確かに把みとり、抱擁し、かぎりない愛情を持っている。限りないふかいいかりと、形振りをかまわなかった私の乞食首領一茶と共に。・・・一茶にはこの自覚があったからこそ、今日まで俳人の誰ひとり創り得なかった「穢多」「非人」の俳句が創造し得たのである、とそう私には考えられるのである。