| 2006年02月01日(水) |
「差別事件としての部落差別」部落地名総鑑事件 |
部落出身者の家人は、日常生活においてむやみに出生地を問わない人権感覚を自分で身につけた人を、親友に選びます。
(このたびの『結婚差別事件』や『部落地名総鑑』の事件を知ることを通して)
まだ、誰もが、自分の生まれ故郷について話せる社会、話しても不利になったり苦しい思いをしたりしない社会になっていない以上、そのような人権感覚を身につけた人がひとりでもふえることを望みます。自戒をこめて。
「部落地名総鑑」事件では、結婚差別事件や冤罪事件とは違い、「『部落地名総鑑』と同様の差別図書『日本の部落』を購入した企業各社が、部落差別によって差別図書を購入したこと、企業内に被差別部落出身者の採用を拒否する差別体質があったことを認めた」(1980年2月5日付け毎日新聞)と、報道されています。 にもかかわらず、このたび、2006年2月1日に「新たな地名総鑑発覚」のニュースが新聞、ラジオで報道されました。
2006-02-01朝日新聞夕刊より 「新たな『部落地名総鑑』 〜大阪市内興信所に 大阪府、調査へ」
全国の被差別部落の所在地などを記載した差別図書『部落地名総鑑』が大阪市内の興信所で見つかったことが、部落解放同盟大阪府連合会の調べでわかった。法務省は75〜78年に8種類の地名総鑑を確認し、89年に調査を終えたとしていたが、今回見つかったのは別の種類だという。大阪府人権室は、結婚などの身元調査に使われていた可能性があるとして、条例違反に当たるかどうか調査に乗り出す。
同連合会によると、発見された部落地名総鑑は、手書きをコピーしたものでA4版、330�蓮A換颪糧鏈絞棉�落について、地名や所在地などを記載。大阪府下の被差別部落は、最寄り駅からの距離や道順を記し、地区の範囲を特定している。市電の駅名などから60年代に作られたらしい。同連合会は、行政書士らが不正に取得した戸籍謄本などが興信所に売り渡され、身元調査に使われていた問題を調査しており、昨年12月に調査先の興信所で見つけた。
地名総監については、企業などが就職者の身元調査用に購入していたことから法務省が調査し、89年に、発行者や購入者らに勧告して事実の解明を終えたと宣言。大阪府は85年に「部落差別調査規制条例」を施行した。しかし、その後もコピーが出回る差別事件が起きている。
今回発見された地名総鑑を所持していた興信所の経営者は朝日新聞の取材に対し、「今は、結婚の身元調査はしていない。地名総鑑を使って出身地を調べるのは、どの業者もやっている」と話している。
北口末広・部落解放同盟大阪府連書記長の話 発覚から30年たった今も部落地名総鑑が残っているのは、結婚などの身元調査を依頼する個人が後を絶たず、根強い差別意識がある表れだ。こうした状況が事実上放置されていることが問題だ。
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再度反省をうながす意味で、一九八一年の段階で、差別図書を購入した企業(二〇〇社以上)の業種等も明らかにします。 業種は機械、器具、金属工業、化学工業、建設、土木、電力、ガス、食品工業、医療、教育、運輸、通信、金融、保険、証券、ホテル、水産、自動車・車体などです。| 差別図書の名称 | 発行所 | 発行者 | 発行数 | 販売価格 | 販売時期 | 購入者 | 資料入手先 | 購入者に対する処理状況 | 判明時期 |
| 1.人事極秘『部落地名総鑑』 | 企業人材リサーチ企業防衛懇談会 | 坪田義嗣 | 500 | 3万〜4万5千円 | 1975年4月〜10月 | 53 | 労働問題研究所 | 処理済 | 1975.11.18 |
| 2.『全国特殊部落リスト』 | 労政問題研究所 | 調査中(北沢隆)(加藤昭三)仮名 | 不明 | 2万5千円 | 1975年2月〜5月末 | 11 | 不明 | 処理済 | 1976.2.13 |
| 3.『全国特殊部落リスト』 | 労政問題研究所 | 鈴木守立(死亡)田中靖造 | 35 | 2万〜3万円 | 1970〜72年 1974〜75年 | 55 | 朝日通信社 | 処理済53 啓発中1 | 1976.11.28 |
| 4.『大阪府下同和地区現況』 | 労政問題研究所 | 鈴木守立(死亡)田中靖造 | 35 | 2万〜3万円 | 1972〜73年 1975年 | 35 | 大阪府同対室作成資料 | 処理済33 啓発中1 | 1976.12.24 |
| 5.『日本の部落』 | 労政問題研究所 | 調査中 | 調査中 | 5千円 | 1970末〜72年頃 | 49 | 不明 | 啓発中 | 1977.9.2 |
| 6.『特別調査報告書』 | サンライズ・リサーチ・センター | 布上義之 | 1 | 1万円 | 1974年春頃 | 2 | 鈴木守立 | 処理済 | 1977.9.2 |
| 7.『○特 分布地名』 | 本田秘密探偵社 | 代表取締役 本田治 | (詰めている)調査中 | 2万円 | 1976年3月〜8月 | 14 | 3〜4年前に関西方面 | 処理済6 啓発中8 | 1977.11.15 |
| 8.『同和地区地名総鑑全国版』 | 調査中 | 調査中(加藤美智雄)仮名 | 200 | 3万5千円 | 1975年10月〜11月 | 1 | 3〜4年前に関西方面 | 若干部数 回収(本人) | 1978.5.12 |
| 9.いわゆる『投書のリスト』 | 調査中 | 調査中 | 調査中 | 調査中 | 調査中 | 調査中 | 調査中 | | 1977.11.11 |
(1989年6月) 『部落問題資料と解説』部落解放研究所編より引用 (購入冊数 計220)
上記資料は「よく知らないからコワイ」という状況は解決したいとの気持ちもあり、掲載しました。
『部落地名総鑑』をはじめとした差別図書が、現在確認されただけでも九〜一〇種類あり、それらのコピー版か何かが、いまだに闇でひそかに販売されていたというのはコワイことです。
しかし今は、初めて発覚してから三〇年もの時が経過しており、『部落地名総鑑』はよく知られていないままにコワイという現状です。
その三〇年間、大人は“『部落地名総鑑』がコワイ、陰湿である”ことを、“『部落』がコワい、陰湿である”と取り違えるだけだったのかもしれません。
ですから、このたびの『部落地名総鑑』の事件で身元調査の対象とされる青年層をはじめ、すべての次世代の人たちに、ただ「コワイ」で済ませないことを望みます。
web上でも、『部落地名総鑑』事件はたくさん紹介されています。
購入企業には、自動車、家電メーカー、銀行、電力、電鉄、生命保険会社等の一流企業名が並び、業種は学校、病院、ホテルなどさまざまにわたり、販売地域は、大阪・東京を中心に全国各地に及び、個人が購入して身元調査に悪用した事例もあったことを問題視するサイトがあります。
部落や在日・アイヌの人々の差別を金諸けの手段とする行為を問題視するサイトがあります。
購入企業側の購入した動機(「今後の雇用に必要な資科であると考えた」「就職の際、被差別部落の人々をチェックしようと思った」)や差別行為に対する自覚のなさ(「ほんの軽い気持ちで買った」「差別するつもりはなかった」)を問題視するサイトがあります。
あとはご自身で関心を持ち、どんどん調べてくださいね。
大阪府が市内興信所に調査にのりだすそうですが、綿密な調査の上、結果はすみやかに情報公開してほしいと思います。
『部落地名総鑑』に関して相談や告発をされたい場合は 部落解放同盟大阪府連書記長の北口末広さんをお訪ねくださるとよいかと思います。
資料)三〇年ほど前の古い新聞記事より抜粋
婦人民主新聞縮刷版第六巻(婦人民主クラブ発行/1977年3月11日号より) 「東京にはもう部落差別はない」か 「地名総鑑」「部落リスト」ぞくぞく購入
| 「東京にはもう部落差別はない」という言葉をよく聞く。また「私は差別をしていない」という人も多い。本当にそうなのだろうか。・・・東京都連書記長は挨拶の中で、「地名総鑑」「部落リスト」を購入した企業は都内で五十社にものぼることを報告、東京の差別の一端をのぞかせた。・・・
練馬ではたたかいの歴史も長く、解放センター「厚生文化会館」の中の保育園で、部落の子のみならずあきがあれば一般の子も入れて保育しているが、足立はいま公立「同和」保育園建設を区に要求中。荒川では用地も設計も決まった段階で「ねむっている子を起こすな」式の考えから、「同和」と名のつくものは困ると反対の声があがり、話し合って条件つきで建つことになったが、保育内容をどうするかがこれからの課題だという。 子どもたちは高校の文化祭に「狭山の黒い霧」上映運動をおこし「差別」という言葉を使わないなら等の条件つきで上映したこと、その際、部落民宣言をした子どもに「あとで後悔しないか」「自分から言うことはないじゃないか」等、先生に言われ、部落全体の問題として確認会の要求を都教委に交渉、五ヵ月たったがまだもたれていない。が、その交渉の中で、一般の親が部落の人たちに多い職業を子に教えたり、企業が雇用差別をし、学校もそれに答えて就職差別をしたことを知ったという報告がある。
足立では十二人の小、中学生が同盟休校したが、親の方が「冷たい目で見られるから」と動揺、子も悩んだが、子どもの強い態度の中で親も変わって行った話。東京で婦人の立ち上がりが遅れているのは最も苦しい差別を受けてきた経験が、子どもの就職、結婚を考えることで、自分から部落民であることを前面に出し切れないのだと思う。地方のように地区がはっきりしていればその中で連帯も組めるが、そうならないのが東京の実情。また教育を奪われ、職も奪われて生活が貧困なため、働くことに追われ運動に参加できないこともある、と差別の現実がうきぼりされる。 また、「オレがやるからお前は家にいろ」など“女差別”のまでまだ行き着かない実状もあり、その点でも共通のたたかいが組めることなどはっきりした。
長野県連の宮沢志津子さんは、「同和」保育とは何かの質問に答え、「石川一雄さんがあのような状態になったのも、元をただせば教育を奪われていたからで、それを考えてもわかるように、部落のお母さんたちは部落差別の結果、教育の機会均等を侵され、子どもを産んでもどう育てていくかわからない。仕事が忙しいから保育所に預けるのではなく“集団の中でキチッと育てる。親が文字や言葉を奪われているから親に代わって集団の中で教育的に育てる”ことが「同和」教育の第一のねらいだということをわかってほしい。・・・部落民宣言し、なぜ宣言しなければならないかを学級の中でとりあげていくことは部落の子どもだけが強くなることではない。解放教育、同和教育は、最終的には一人一人の子どもたちに本当に目をそそがれるような教育、学級づくりを展望している。・・・」宮沢さんの言葉を胸に散会。
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