たりたの日記
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| 2010年06月05日(土) |
朗読講座で「坑夫」を読む |
昨日は朗読講座に久しぶりに出席した。今学んでいるテキストは夏目漱石の「坑夫」の冒頭の部分。 わたしの順番が来て読んだ箇所はこんな部分があった。
<のみならず歩けば歩くほどとうてい抜ける事のできない曇った世界の中へだんだん深く潜り込んで行くような気がする。>
<この漠漠のうちへー命のあらん限り広がっているこのこの漠漠のうちへー自分はふらふら迷い込むのだから心細い>
この感覚は決して今は持っていないが、若い頃いつも気持ちの底に流れていた気分だったと思い出した。 あの当時は、いつまで行っても変わらずに続く松原しか見えなく、まさに漠漠のうちへ迷い込むという思いがあったが、今はすでにその松原の終わりが見え、その向うに広々とした青い海が広がっているのさえ見えている感覚がある。 あくまで自分勝手な感覚で、実際は老後というさらなる山や峠、漠獏たる荒地を歩むことになるかも知れないが。
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