たりたの日記
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2009年07月29日(水) 「熊の命を食べる 」 という詩

昨日の日記にイーノトシロヲさんの一人芝居のことを書いて、そこから同時に思い出されることがあった。

熊の肉を食べた時のこと。
あの時、熊の肉を食べながら(泣きながら食べたのだが)
イーノトシロヲさんの演じた熊の声が、その時、食べている熊の声となって聞こえてきたからだ。

あの熊の肉の味も触感も、そしていただいた命への畏れ多さと、感謝の気持ちも忘れることはできない。

ちょっと元気がなくなることがあって、
自分を奮い立たせたい気持ちもあって
あの時書いた熊の詩を探した。
見つかったので、また、ここに。

日々 生きものの命をいただいているものとして
命を持つことの痛みもきちんと引き受けていかなくてはならない。




2004年04月17日(土) の日記


熊の命を食べる 

 
熊の肉を食った
噛み締めながら食った

熊が過ごしただろう深い森や
熊が渡っただろうさらさらと石の上を流れる小川や
熊が夢みただろう暖かく湿った穴倉
そんなものもいっしょに食った

熊の命のかけらはみっしりと弾力があり
噛んでも噛んでも飲み込めない

「俺の命を食うんだぞ、そんなにやすやすと飲み込むんじゃない。
 噛め、しっかり噛め、俺の命を味わえ」

しっかり動かしている歯と歯の間から
熊の声が聞こえてくる

昨日食った熊の命は
今朝はわたしの身体の中で血液となって
流れているんだろう
その肉は分解され、また組み合わされ
わたしの腕の筋肉に組み込まれるのだろう

森の熊といっしょだ
今日は
身体にも心にも強い力が満ちているはずだ

朝が新しい気がする


たりたくみ |MAILHomePage

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