たりたの日記
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この日、朝起きてみるとテーブルの上に水が落ちている。 いくらがさつな青年Hでもこぼした水を拭きもしないなんてあるだろうか。 しかしテーブルに水がこぼれているのだとすれば、夕べ深夜に帰ってきたHの仕業しか考えられない。
しかし、最近、わたしは何事にも寛容なのだ。以前であれば、眠っているHを叩き起こして始末をさせるか、起さないまでも、かなりのお怒りモードだったはずなのに、感情に波も立てないまま、テーブルを拭き側にあったパソコンに被害がないか確かめる。で、やおらテーブルの下に目をやると、置き場がいよいよなくて壁の隅に積み上げていた本がバラけて床に散らばっている。一瞬、Hの顔が浮かぶ。「何をやったの!」本を手にするとなんと濡れているのだ。好きな佐野洋子の一連の文庫本はどれもぐっしょり水を含んでいる。
はてテーブルの水と壁の隅の本とはどうも結びつかない。 よくよく本の積んでいた壁を見る。上から水がツーと一筋流れている。天井に目をやれば、白い天井のクロス(ビニール製の壁紙)が真ん中のあたり水ぶくれのようにぷっくりと膨らんでいる。さわるとプルプルと水の感触。水枕のそれのような。あぁ、いよいよきたか雨漏り。
おおよその見当はついた。我が家のベランダには屋根がついていない。その上、下のコンクリートにはかすかにだが、ひびが認められる。業者に問い合わせれば、浴室と同様の防水加工をしているので水が家屋に沁みこむことはないと言われそれを信じていた。 しかし、時時、ベランダの排水溝にゴミや落ち葉などが被さると水が流れずにそこに水が貯まることがあった。きっと夕べの大雨でベランダがプール状態になっているのだ。そこから室内に染み出してきた水に違いない。
ほどなく起きてきた同居人もすわ一大事とベランダを点検に2階へ上がる。やはりベランダはプール状態だった。水の圧力で、コンクリートの割れ目から浸透した水が、これも行き場がなく、天井のクロスの間に水路を作って水を溜め込んだのだ。 まずはその天井の水枕状態のクロスに穴を空け水を出さなければ。同居人がバケツを捧げ持ち、わたしが鋏の先をグイとクロスに突き刺す。そこから水がオシッコのようにしょぼしょぼと降ってきた。わたし達は、その何ともなさけない音を聞きながら、ともかくも朝ごはんを食べたのだ。天井から落ちてきた水はバケツに半分くらい貯まり、治まった。
10年振りの記録的に激しい台風がこの日の夜8時ごろこの当たりに上陸ということだったから、同居人は外に備え付けている園芸用のラティスを紐で結わえたり、わたしは植物の鉢などを移動し、これ以上被害が及ばないように台風に備える。 「ラテン、どうする?」 「台風の中行くのはいいけど、雨漏りする家を見捨てるわけにはいかないよね、やっぱし…」 しかし、台風は前宣伝ほどの事はなく、夕方7時過ぎにはもうどこかへ通り過ぎ、我々はよかったよかったとスポーツバッグを抱えて、ジムへラテンを踊りに行ったのだった。
本日の反省と教訓。 ベランダの掃除をこまめにする。 排水溝にゴミが被さらないように茶漉しのような丸まった網を取り付ける。 ひびを放っておかないで、上からセメントを塗ったり、手当てをする。
何か良い方法を知っている方教えて下さい。
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