たりたの日記
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| 2003年10月06日(月) |
メイ.サートン詩集「一日一日が旅だから」 |
少し曇り空の肌寒い秋の日の午後、 メイ.サートンの詩集「一日一日が旅だから」を読む。
たりたの日記を始めて3日目にメイ.サートンの「独り居の日記」のことを書いたが、この本はわたしの愛読書で、繰り返して読むうちに、すっかり彼女の家の中や庭のたたずまい、そこにある空気まで自分のものとなってしまった。
日記を通して出会った80歳のサートンに、わたしは深い愛情と慰め、また綴ることへのインスピレーションをもらう。
サートンが詩人であることは日記を通して知っていたが、その詩集の存在を知らなかった。この前の日曜日、いつものようにわたしを呼ぶ本に出会うべく書架に目を走らせている時にこの詩集が目に止まり飛びついた。
翻訳者は「独り居の日記」と同じ武田尚子氏。出版社も同じ。みすず書房。ちょうど2年前に発行されている。メイ.サートンは1995年に他界しているから、死後7年経って、はじめて、彼女の詩が日本語に翻訳されたことになる。
どれも初めて読む彼女の詩ではあったが、その静かな情熱や、深い孤独、澄み切った魂から紡がれる言葉は彼女そのものだった。
この詩集を今日読んだことの記念に ひとつだけその詩を記しておこう。
仕事のまえの祈り
メイ.サートン 武田尚子.訳
大いなるもの 厳しいものよ はるかな星の運行を 明らかに定めるものよ いまこそ わが精神を 飛翔させてくださいー かの星々の自在を お授けください。
生きとし生けるものすべての 声もなく慰めもない 悲嘆をつらぬいて 澄みわたる楽の音を 響かせてください フルートのように魂を裂く 清らかな音色を 狂いなく わが耳にとらえさせてください。
厳しいもの おおいなるものよ あなたのかぎりない 恵みによって けがれた この胸からさえ 永遠に変らぬしらべを いまなお 生むことができるでしょうか 願わくばわが歌に 厳しい形をお与えください。
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