たりたの日記
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雪がしきりに降っている。ジムに行こうとすっかり支度を整えたところに雪が降ってきた。出かけるのは止めにした。今日はこの静かに降り積もる雪といっしょに過ごそう。レースのカーテンを開いた。
またずいぶん、ここから離れてしまっていた。この場所はある意味、わたしが誰でもないわたしへと向かう場所。それは大切なわたしの砦、わたしの源。それなのに、わたしはしばしばここを離れる。そうして日常の空間と時間のあずかり知らない場所へ独り潜り込む。そうして旅を終えて戻ってくる。またここへと。なにか見出したいものがあるのだろう、この探すというわたしの習性はどうやら果てを知らないらしい。
布を織っているのだと思う。わたしという縦糸に様々な横糸を織り込みながら。様々な色の、また異なる質感の横糸を、ほとんど手にするままに、おおよそ無計画に先を急いで織り込んでゆく。織り上がってみればその模様は、まるで始めから定められていたような動かし難い正確さを持っている。この色でなくては、この質感でなくてはならなかったというような。
ここしばらく織ってきたタペストリーのその緋色と深いブルーとまたアースカラーの荒縄のようなより糸とが作る複雑な模様を眺めてみる。そこに映し出されたひとつの正確さに思いを凝らしながら。
雪は深くなっている。
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