詩のような 世界
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彼は私の夢に出てくると いつも最初は笑っています 私だけを見て私だけと通じ合う そこでは絆みたいなものを感じるのです
でも場面が変わるごとに 彼の気持ちも変わるようで 気がつくとこの手を離している 私は彼の行方を探すのでした
そして溜息 やっぱり彼は知らない女の下で笑い 視線を彼女だけに向けています 私を「なかったこと」にしているのでしょうか
だけど彼を責める気にはなれないのです むしろ自分から別の人に移る彼を 自然だというふうに眺めています 彼に対する情は深くないのかもしれません
それとも逆なのでしょうか 私が感じる「絆」は 小さなことはどうでもいいことであると 認識していたとしたら
可能性は後者のほうが強いみたいです 私にはこれからも彼の夢を見るという 確証めいたものがあるからです 逃れられないとわかっている
この先彼は何度私から去っていくのでしょう この先私は何度傍観者になればいいのでしょう この先
この先夢は呪縛のごとく現れつづけるのでしょう
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