日々日記
いちらんふるいあたらしい


2010年06月13日(日) 映画というもの

きょう「映画体験」なるものを経験した。
とりとめもなく、思った事をつらつらと書く。


(ネタバレちゅうい)

今公開中の、松たか子主演の映画「告白」を見たんだけど、
すーごかった!ほんとーにすごかった!

そもそも映画ってほとんど観ない。
従って「わたしに訴えかけ、何かを呼び覚ますような存在としての映画」との出会いも
まず無かったから、この映画には心底びっくりした。


「告白」では、一見すると「愛する我が子を理不尽な形で失った悲しみがあんまり深くて、
犯人に最も苦痛を与える方法を用いて復讐した教師」が描かれているのだけど、
全篇を通して人間そのものの醜悪さとえげつなさが、これでもかこれでもかと描かれてて、
そういうところに本当に舌を巻いた。

これですよ。これ。
娯楽でもファンタジーでもない、こういうのが観たかった。
(と、観てから言い出すあたりは実にいいかげんなもんだが…)


あと、何が正しくて何が正しくないのかという価値判断が、
その時代によって、あるいは大多数の人の意見なり大衆の雰囲気なりによって
「つくられたもの」でしかないということをですよ、見せつけられた。

だいたい、人間のそういう感情を「醜悪」だと見なすのだって偏った判断なわけで。
確かに誉められたもんじゃないけどさ。。


「なぜ人を殺してはならないか」の答えは、
今のところ私の理由は「私が殺されたくないから」なんだけど、
そこもねー、うん。

少年達の判断は、そして主演の松たか子の行動は、間違っているのか?
人は弱いから、愚かだから、間違うのか?

そういう部分をかき回される映画だったねぇ。。


これが人間というもの。
誰の心にも去来するかもしれない感情。

奇異なようでいて、あまりにありふれた、
どこにでもある「人の心」というものを見せつけてくれた。

その描かれ方があんまりよくて、観終わった後笑みが顔から消えなかった。
(なんだか悪趣味よね。でも本当だから)


inu-chan