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2012年08月21日(火) 「児童生活臨床と社会的養護」が出ました

金剛出版より「児童生活臨床と社会的養護」が出版されました。目次は以下のようになっています。

はじめに 児童自立支援施設に足を踏み入れて(田中康雄)
第1章 児童自立支援施設の現状と課題(相澤 仁)
第2章 生活臨床の実践(橋本和明)
第3章 児童自立支援施設の生活から見える子どもの変化と職員の変化(富田 拓)
第4章 医師の立場から児童自立支援施設の生活を考える(青島多津子)
第5章 児童養護施設での経験から生活を考える(国分美希)
第6章 自立援助ホームでの実践を通して生活を考える(高橋一正)
第7章 「生活を考える」から「生活が支える」へ(田中康雄)
第8章 心理的支援と「生活」(村瀬嘉代子)
オピニオン:川俣智路/久蔵孝幸/松嶋秀明/松浦直巳/飯田昭人/荒井紫織/高橋一正/富田 拓
あとがき 共に学びあうこと(橋本和明)



ご覧になっていただければわかるように、これまで非行少年、社会的養護などにかかわって一線で活躍されてきたメンバーが執筆されています。私は「オピニオン」という短い章を書きました。

実は、この本は昨年まで北海道大学におられて、現在は(こころとそだちのクリニックむすびめ)を開設して臨床活動にもどられた田中康雄先生が代表の科研プロジェクト「発達障害の疑われる非行少年の包括的再犯防止対策」の報告書をかねています。そもそものはじまりは、発達障害や被虐待を背景とした愛着障害の子どもへの処遇をどうするのかということでした。

しかし、施設に入ってみて、その実践にふれればふれるほど、まずこの実践を理解していく方が先であると痛感しました。また、児童自立支援施設での生活をみるにつけ、「発達障害」という診断名がもたらす意味、障害特性といったものについての一般的理解が、ほとんど役にたたないようにも感じられました(診断や、障害特性を知ることが重要でないといっているわけではありません)。発達障害をもっている子どもが感じる生きづらさは、日々の生活のなかの様々なことを通してであり、日々の些細なことのつみかさねを支え、ひとつひとつクリアーしていくことのなかにこそ大事なことがあるのではないかと思います。ここで出されている様々な観点は、なにも社会的養護に限ったものではなく、私が主に関わっている学校臨床においても十分あてはまるところですし、おそらく様々な場面で示唆的なものだと思います。是非、多くの分野の方に手にとっていただけたらと思います。

なお、私たちがプロジェクトでおこなったインタビュー調査は、第2章の橋本先生の章にあらわれています。以前の日記で少しふれた「科研報告書」では、私が総括的な章を書かせてもらいましたが、共通する部分も多いものの、少し違う部分もあると思います。それとあわせて読んでいただくと少し立体的にみえてくる部分もあるかもしれません。


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