非日記
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2007年11月07日(水) 休みごとに掃除中。

最近休日ごとに熱心に掃除をし、それが為に休み明けはやつれています。
特に先日の流しの下の清掃作業は、精神修養でした。ものをどかす際に躊躇う指先を叱咤し、「ハッ!」とか「でやッ!」と気合を入れてしまうという。いるかもしれない…と恐れているからです。
それもこれも先日、またもや屋外で黒色の神秘の生命を見たからですよ。
今夏うっかり深夜遭遇し、うっかり言いたくない事をしてしまって、人類として生きてはいけないような心持ちになってから、ただ闇雲に自分の怠惰さだとか不衛生さを責めていたわけではありません。次の再会にそなえ、あやつらの生活と習性について調査を続けていました。敵についてよく知らねばならぬと孫子も申しておりました。

それでわかった事は、全く敵はあなどれぬという事です。
昔どこぞの研究者は、「台所で遭うとこれほど恐怖にかられる生物はいないが、その同じ生物について研究対象としてなら、これほど興味をひかれる魅力的な生物はいない」みたいな事を言っていましたね。
その研究者達を虜にしてきた魅力…というか絶望の一端を知った次第です。
人間に換算すれば、その逃走速度は時速320キロ。
僅か1ミリちょっとの隙間があれば潜り込め、一度の交尾で一生分の精子を確保し、空気が無くても数時間は耐えられる。生物進化の極に至り、この地上に三億年の栄華を営営と築いてきた地球最古にして最強の昆虫。
カッコイイですね。
ゆくかわのながれはたえずしてしかももとのみずにあらず。くにやぶれてさんがあり。しろはるにしてそうもくふかし。しょぎょうむじょうのひびきあり。しかし三億年、常にそこには黒かったり黒くなかったりする影があったのであります。(黒くなかったりする影=ごらんになりまして?アマゾンのゴッキー、輝く七色だぜ?)ぶち殺したくなりますな。
…ことによっては人間もガリガリ食べるそうですよ。
イエー
彼らが滅びる時には人類も遥か以前に滅びているであろうと言われるだけありますな。
よって烽火三月にいたります。

一人暮らしもン年になり、台所から三十センチの距離での就寝もン年になり、だんだん耐性がついてきてる気がしますよ。しかし屋外で発見した時、うっかり動揺してしまい、「彼にもきっと悲しむ家族が…」とかどうしようもない事が頭を過ぎって手が…というか足が出せなかった事が口惜しいのです。「次は踏んでみせる」と決意を新たにしましたよ。



ところで最近またABC殺人事件を見ました。
この話はポワロさんの中で一番好きかもしれない。キャラが好きなんだ。誰とは言わないがABCさんが好きなんです。か、かわいー!って感じに。
この話は推理小説としてアクロイドやオリエント急行に並び、いかにも有名なので子供の頃にも読もうとして何度か挫折しました。なんでこんな面白いものが読めなかったのか後になったらわかりません。一度は図書館から借りた本の初め数十ページが無くて嫌になって諦めたとか、一度はレンタルで借りたビデオの始まり数十分が映らなくて嫌になって諦めたとか、その後も複数回運命の妨害があった記憶があるが、読んだら、「これは確かに面白い」と素直に思いましたよ。
これが横溝正史なら、どれだけ人が惨殺されていようが最終章の章タイトルが「大団円」となっているだろう大団円ぶりがお気に入りです。

しかし横溝では大団円じゃないかもしれないな。
私、横溝正史の長編を並べて最終章タイトルチェ〜ックしたことあるんですよ。だってどれもこれも人が次々と陰惨に惨殺され、事件自体は必ず解決するのに、一体彼的には何が大団円で何は大団円でないのか、その境界線は何かが悩ましいじゃない。で、数タイトルをざっと並べた直感的には、どうも事件進行に沿ってほのかなロマンスも進展し、最後めでたくくっつくか、若しくは憂いが晴れて幸せになるカップルがいると「大団円」になってる気がする。
つまり横溝的には、その背景がどれだけ陰惨で陰湿でジメジメした血みどろの連続殺人事件であろうとも「そして二人は末永く幸せに暮らしました。…おしまい☆うっふふ〜(*^-^*)」気分でいるのではないかと思われ、そう勝手に推察しては「あらやだ、もう!かわいーヒトなんだから!きゅん!」という気分になり、その無垢なる無邪気さに横溝大先生を益々好きになるのだ。
まあ章タイトルは編集者がつけたかもしれないが、まちがいなく横溝先生はミステリ作家としては結構なロマンス好きに分類されると思う。しかも切ない系と純愛系が殊に好きなようだ。


最初は辛かったのに後年読んだら凄く面白かったというのは、清張の点と線もありますよ。
これも有名なので今よりも素直だった子供の頃に読もうとし、これは妨害が無かったにも関わらず辛くて挫折した記憶が生々しく残っています。その後、別の清張作品を読んで私的にイマイチだったので清張は避けていた事があったのだが、縁があって再チャレンジする事にしたのでした。そしたらこれは本当に面白かった。何が面白いとは言いがたいが、あんなに読みづらいと感じたのはなんだったのかと思うほど滑るように読みやすく、しかも面白かった。たぶん自分がトシ食ったんだと思う。ついでに私の事なので、たぶん主人公?の刑事さんがかなり好きなのだと思われるよ。
刑事さん同志の手紙のやりとり、その手跡がどことなく「まあこの人達、仲良しさんになったわね」と女心をくすぐるのです(←殴)。いやあのね、ちょっと遠方の若い刑事さん?なんかが、主人公のベテランのオッサン刑事に手紙を書いてくるのね。昔の話だから、なんでもかんでもFaxや電話やメールで軽やかには進まないわけよ。おかしいと思ったオッサンが地道に足で捜査していき、二時間ドラマみたいに急展開はせず、ページをめくると数週間数ヶ月経ってたりしる中で、「その後いかがでしょうか。私も色々考えてみたのですが」と状況や情報の共有や伝達をしあうのが個人的なお手紙なわけですよ。その手紙の端々に、職業上の義務を越えた個人的な情熱や疑問や真摯さが垣間見え、とてもかわいいのです。若い刑事さんが触発されて事件への目や執念を学んでいく成長ぶりとか、なんか色々なものがバックに流れてる感じがイイのです。ミステリとしては事件自体やトリックは割とあっさりしてるんだが、「これならできる」とか「これならやろうと思うだろう」というリアリティぎりぎりの感じが落ち着いた雰囲気でよい。社会派と言われる清張特有のにおいも香るけれど(昭和をひしひしと感じる)、鼻に付くほどではなく、程よくて、物語としてスマートに完成してる感じがする。
まあ色々好みだったわけよ。

これが今度ドラマ化されると知り、どうやら新聞広告を見たら主人公?役が結構ハマってる気がし、「おー、いいじゃんいいじゃんイケてるよ似合う似合う」とちょっと楽しみだった。
でもこの地方ではやらなかったりする。私がとってる新聞は全国紙なので、テレビ欄に放映されない番組がよく大々的に広告されてるのだ。


やぐちまさき |MAIL