非日記
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久しぶりに図書館で十代目桂文治の源平盛衰記をまた借りてきてしまった。相当楽しいのだ。かなり好きだ。私は暗い落語は好きでないし、ヒタスラおかしくて嬉しい。 滑舌が良いわけでなく、どもったりつっかえたりするが、聞き苦しくは無い。引き込まれる。朗々と謳い上げたかと思ったら、躓いたように「ナンチャッテ」な感じでコロっと調子が変わり、かと思うと砕けた横道に行っていたのは赤の他人でございますとばかりに顔も声音も真面目ぶってみたり、変化に富み、抑揚に富む語り口に翻弄されるのが気持ち良い。 滑舌の悪さも、たぶん物凄く滑らかに詰まらず音楽的に話されるよりは、かえって話を頭に入れて分かるのは良いようにも思われる。さらりと聞き流すことが難しいのよな。 時には「言う事思い出せないのか?」という奇妙な沈黙が落るんだが(明後日を見てぼうとしたまま何も言わなくなる瞬間がある)、これも妙に緊張感を持たせて良い。「いつ、次に何を言い出すのだろう」という期待を持ち。
最初の、驕る平家は久しからずの「驕る」に「奢る」を引っ掛けた枕のところから楽しい。スナックかどっかの話になって、「あれはモテてるんじゃないんですよ。商売なんですよ。こっちが一杯飲む間に向こうは二杯飲むんですから。ホステスのナンバーワンなんてのは、ありゃぁ何が凄いのかっていったら胃が丈夫なんですな。幾ら飲んでも平気なんですよ」と、なんかそんな話をなさいます。ホステス、ホストのナンバーワンと言えば、化粧が濃いとかまず見た目の印象が強く、煽てが上手いとか顔が良いとかそういう事を直ぐ想像してしまうんだが、そこであえて胃腸の能力を出してくる外しっぷり、しかも「言われてみりゃあそうかもしれん」と思わされるところが好き。 都会はどうか知れないが、地方の求職誌の半分ぐらいはホステス等若い女の子(稀に熟女)募集や広告で埋まってるが、見ると中には偶に「おしゃべりを楽しむ上品な店なので、お酒に強くなくてもOK(はぁと)」とかがあったりするんだよ。つまりそれだけ殆どの店は酒が飲める(お客に驕らせてホステスが酒を飲む→沢山驕らせたい=沢山飲めねばならない)事が大前提という事なんだろう。私なんか逆立ちしたってできませんね。
この源平盛衰記、三十分も無くて、屋島の戦いでオチをつけて終ってしまいます。最初の平家物語の冒頭がサゲの伏線なんだが、でも残念。もっと沢山聞きたい〜とじたばたする。何度聞いても(見ても)楽しいわ。 「パリぃのニューモード」とかがね(注:頭から切りつけられて兜がひん曲がった表現)。 色々面白おかしいが、やっぱり一番盛り上がるのは倶利伽羅峠のところかしらね。でも頼朝と義経の再会シーンもなんか好き。「ケーキかなんか、紅茶でも出してやって。レコードは…」な頼朝に義経が「わたくしもあれから転々とし、つい先ごろは上野の地下道に三ヶ月…」などと、現代が随所に紛れ込むのがおかしい。 あー楽しいなあ。思い出すだけで楽しい。あんまり楽しくて、まだ二回しか見た事無いのに、妙に覚えてる。そのうち全部覚えちゃうんじゃないかと心配だ。この十代目桂文治さんのDVDとか出てるような気がする、確か。買っちゃったらどうしましょう。
そういえば昔読んだコバルト文庫の続きが出ていて(話は一話完結なのでわかるけど)、懐かしいから探したわけよ。私はね、コバルトだろうが文庫なんだから結構古本屋に出るもんだと思ってたのよ。そう高を括ってたから読みたければ買えばいいんだと引越しの時にあっさり売ったんだけどさ。それが探しても探しても無いのよ。ネットで検索かけたら、五百円もしない文庫本が四千円近くになっててよ。参ったわこりゃ。確かにあの作家さんは面白いんだけど。しかもいまだに続きが出てるのに、最初の一冊は絶版になってるんだけど。 この人はいくつかシリーズを持ってるんだけど、さりげに全部同じ土俵なのよな。ある世界のある国の歴史が垣間見れるのよ。別のシリーズの登場人物がン世紀前の歴史上の人物として名前だけ出てきたりするの。昔は軍人の家系だったのが、どこでどんな政変があったのか家系図を見ると数世代前に国王になってたりするのよ。それを見ると、「あー懐かしいな。アレの子孫がねえこうなっちゃったか」と思うともう一度前のが読みたくなるでしょ。 内容(荒筋)は大方覚えてるんだよね。ただ細かいところ(会話とか地の文)を流石に覚えてないんだ。 このやろうと思った。文庫本だからってナメちゃいけない。かえってコバルト文庫(少女向け小説?)という読者を選んだ本なわけだから、いつ絶版になり、手に入らない幻の本になるかわからんわけで、好きだと思ったら手を離してはいかんわけよ。しかしンな事を言ったって雪崩れてるんだもん。
ところで、図書館では借りれるビデオと借りれないビデオがある。CDは全部借りれるんだが、LDやDVDやビデオはNHKのとかしか借りれないの。映画なんかも沢山あるんだが、それは席が空いてなければ順番を入れてもらって視聴覚室で見ねばならない。どうも著作権か何かの問題らしいんだけど。レンタル屋さんが払っているレンタル料というのを払ってないので(資料として収集してる?)無料で貸し出しはできないらしい。「なんで借りれんのじゃ」とクダ巻いてるパンピーに図書館員が懸命に説明してるのを又聞きしたところではそんな話。
確かに小売にいた時に、図書館や学校から注文があると、「明らかに個人的な使用ではないだろう。売っていいのだろうか」と悩んで問屋に確認した記憶がある。問屋の販売カタログを見ると、レンタル(店)用ってのは値段からして全然違うのよ。桁が違う。そんで映像特典が大幅に削られてたりするんだ。「要らん」というのあるけど、「それが見たいのに」ってのもあるのよな。
そういえば親父さんが新学期が始まる数日前に突如思い立って「教科書に使おうかと思ったんだけど間に合うかしら?」と出版社に直接問い合わせた事があったらしい。学校に営業に来ている業者の人が「今すぐは難しい」と言ったかららしいんだが、当然ですよ。「そういう無茶な事を言われても困るんですけどねえ、お客さん。注文から一週間ぐらいは見ていただかないとねぇ、そんな直ぐにはねぇ」と私が小売店の販売員として文句を言ったところ、「えー全然嫌そうじゃなかったよ。二日ぐらいで全部揃って来たよ」というお話。「即座にかき集めます!」と前のめりの勢いで送られて来たらしい
(知らん人に注:本は出版社と問屋と小売店の間を行ったり来たりしてる。密林の「即日発送」というのは密林自体に在庫がある、「三四日以内に発送」は版元に在庫がある、「暫くかかる」みたいなのは全国どこかの書店にはあるが版元には在庫が一冊も無く、小売店からの返本または再版待ちである…と見られるわけだ。違うかな。 ついでに、問屋で発送の為に品物を箱詰めしているのは海外からの出稼ぎ労働者が多く(品番で確認していくので別に日本語が読めなくてもいい)、雀の涙のような賃金でボロボロになるまで働かされていると聞いたな、問屋のおじさんに(「だから結構間違うから」って)。だから密林の内部で働いた人が書いた「こういうシステムの会社が社会を破壊する」みたいな告発本の類も一概に大げさとは言えないだろうと思う。 消費者として何でも値が安いと助かるのは確かなんだが、安さを見るたびに誰の生活が困窮してるのかについ思いをはせてしまう。物価が安くなるという事は賃金が下がるという事だ。賃金が下がるという事は、賃金を受け取る労働者の購買力が落ちるという事だ。購買力が下がるという事はそうそう売れなくなるという事であり、売るためにはもっと価格を引き下げていかなければならない。それでなお利幅を確保する為には労働者の賃金は最低限まで押さえ込まれていく。一度下がり始めれば、ドッキン法で基本的にはカルテル禁止の自由市場で市場の暴落を止めることはできないんじゃなかろうか。不況対策のためのカルテルは公正取引委員会に認可されることもあるらしいが、認可が下る状況とはいかほどのものなのだろう。そして誰が申請するんだろうか。 賢い消費者として自分が安価なものを選択的に購入するという事は、結果的に労働者である自分の首を絞めているようにも思い、安いからといって一概に喜べない。近所の店が激安スーパーに改装したんだが、ちょい憂鬱な複雑な気分で買い物。ざっと見たところおそらく、まず流通のどこかの段階をカットしたと思われる。そしてポイント制などのサービスを全廃止し、惣菜なども工場生産したものを「油であげるだけ」など最小限の手間にして限界まで人員を削減したと見た。一体どれだけの人間が仕事をなくしたんだろうなと、全く同じ形で全く同じ大きさの、五十円の惣菜コロッケを見て思う。じきに私の番だな。 それで、「畜生…マトモな商品なら安けりゃ安いほどいいんだろうなんて消費者を馬鹿にしやがって」とブチブチ思いながらいそいそパックにつめてたわけよ(苦笑)。食ったがちょい固かった。 よく考えてごらんよ。月給十二万の人間が五十円のコロッケを買う。では二倍以上の月給三十五万の夫を持つ主婦は、わざわざ二倍の価格である百円のコロッケを買うか?NO、今のご時勢では大方買わないね。五十円のコロッケに「アメリカ産牛肉脊髄入り使用」とか書いておけば違うかもしれんが。彼女もまた五十円のコロッケを買う。その方が「お徳」で、それが「賢い主婦」だからだ。♪明日がー見えないよー♪だわね。 )
そら教科書や参考資料に使われたら、一冊や二冊のちまちました売り上げじゃないしな。「これは良い文献だ」と評判になったら他でも使われるかもしれんしな、ナイスビジネスチャンスだろ。 それでヤツは味をしめて、小売や問屋を通さなくなったんだ。迷惑。
図書館では大黄河とかシルクロードとか海のシルクロードとか大英博物館とか、たぶん政府や国際団体が金を出してるビデオ(「〜遺産」「地球の資源」みたいな)が借りられるので、まあいいかと思ってる。
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