| 2004年12月11日(土) |
cavityつづき。 |
「cavity blues」 2
「…兄さん」
やんわりとなじるように弟君が声をかけた。
しばらく固まったまま、鏡を見つめていたエドワードの肩がびくりと揺れる。
「また、虫歯を放っておいたんだね…」
「放っておいてなんかいない!自分できちんとエナメル質を錬成して治したんだ!」
顔を赤くして反論するエドワードは、自らの正当性を主張しながらも、やはり後ろめたさは隠し切れないようだ。
「それじゃあ放っておくよりなおさら悪いよ。それだけじゃあ治らないって、分かっているでしょう?」
まるで母親と子どもの言い合いのような光景を見つめながら、私は発火布をいそいそと手にはめた。
ぎゃんぎゃん喚いているエドワードの顎をつかんで、自分の方に向かせた。
「た…いさ?」
素早く人差し指と中指を口の中に入れて、無理矢理大きく開かせる。 もう片方の腕で、逃げられないように身体をしっかりと捕まえたまま。
「がっ…ぐぐぐぐごぐぐ」
ふいをつかれた驚きと怒りで耳まで真っ赤になったエドワードの抗議の声が、意味を成していないことをいいことに、私は自分の行為を続行した。
「た、大佐、どうしたんですか?」
弟君もさすがに心配になったらしい。
「いや、必要ならば、加熱殺菌してやろうかと思って」
エドワードの口元で、自由な状態の親指を、発火布にこすりつける仕草をしてみる。
「!!んぐぐぐー!!!」
エドワードはさらにじたばたと暴れて声を上げた。ちょっと涙目になっている。
「…大佐…それは…ちょっと…」
「ふむ…だめかね。」
どうやらエルリック兄弟は私のジョークについてこれないようだと判断し、私は手を下ろした。
管理人情報。 最近になって初めて親知らずができました。 おそすぎる反抗期も迎えております。
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