友人から北村薫の『六の宮の姫君』をかりました。 「朧くんに読ませたいと思って」 と言われたので、彼女のメッセージをきちんと受け取れるかちょっぴり不安にもなりました。 基本的には謎解きの推理小説なんですが、ひとりの女子大生が卒論の題材を集めていく過程を中心に描かれているのですよ。 朧は就職活動の時や、論文執筆時の悩みなどを、友人に打ち明けていたりしたので、もしやそれを覚えていてくれたのかな、とほんのり甘酸っぱい気持ちになりました。
最初はちょっととっつきにくかった内容でしたが、次第に面白くなって、どんどん進んでいきました。
君からのメッセージは受け取ったよ。
そう判断して、甘酸っぱい気持ちを抱えながらワタシはラストに向かいました。
と、すると。
作品中、女子大生の集めた資料の中から、作家の芥川と菊地寛の関係が書かれた文章が多く引用されているのですが。
後半、睡眠薬を誤って大量に服用してしまった菊池のそばにつきそっていた芥川が、意識を取り戻した菊池にむかって 『甘い笑顔を近づけた』 んだそうです。 ちょうどその時喫茶店でロイヤルミルクティーを飲んでいたワタシはロイヤルなものを吹き出しそうになりました。
真面目な北村さんの文章の中で、異様に目だったその一文。
友人に本を返す前に、ワタシは彼女が伝えたかったメッセージがなんだったのか、おそるおそるきいてみました。 「・・・芥川の笑顔?」 すると友人はニヤリと笑って 「そう、甘い、笑顔」 と答えました。
…真実の奥の奥。
いえ、とてもおもしろい小説でしたよ!!
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