| 2003年09月04日(木) |
空を見上げれば。(サブタイトル:ヒカ碁最終巻妄想記) |
北斗杯会場を後にした社氏は、そのまま真っ直ぐ駅に向かうつもりであった。 しかし、ふと足を止めて後ろを振り向く。 会場のホテルを見上げる。 大袈裟な建物だ。 息子の清春が、緊張した面持ちでこの中へ入ったであろう様子を思い描いた。 あいつは、いつも格好つけたがるが、根が田舎者だからな。 視線を前に戻し、また足を進めた。
5分ほど歩くと、小さな公園が見えた。 新幹線の時間までは、まだだいぶある。
終局まで見ていく時間は充分にあったが−− いや。 自分の思いは、先ほど清春の師匠に言い放ったものと変わりはない。
道端の自販機でコーヒーを買うと、氏は公園の中に入っていった。
ふいに、強い風が吹く。
「あっ」
女性の小さな声がした方向を向くと、足元に新聞がからみついてきた。
「すみません」
声の主であるらしい女性が慌ててベンチから立ち上がって駆けよってくる。 氏は缶をもっていない空いてる方の手で新聞を拾い上げた。
「いえ…」
何気なく手渡そうとした新聞の記事に目が止まる。 普通の新聞とは異なった、一回り小さめのタブロイド版。
『北斗杯日本代表 決定』
ゆっくりと、視線を女性に向けると、 女性はすみませんともう一度言って新聞を受け取った。 女性の目は少し赤かった。
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・・・続くかもしれません。
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