日刊オバちゃん白書 --婆ウォッチングのミラーサイトでござる--
* いんふぉめ〜しょん *
2001.3.18〜 四半世紀も続くなんて、誰が予想したでしょう

呪われたパートだったのかも 2001年12月16日(日)



爺ィバンドのトロンボーンの爺さんがとうとうお亡くなりになった。
享年68歳だったそうだ。
「とうとう」というのはつまり、
「今か今かと思ったがとうとう・・」という意味が、残念ながら含まれている。
不謹慎な話だけど、そこにいた誰もが口にした(または思った)事実である。

彼といっしょの最後のステージが、去年の12月の定演だった。
トロンボーンをスタンドに立ててはいたものの
体力が追いつかなくて、ほとんど吹いていなかった。
トロンボーンの横に置かれたコンガを、好きに叩いていた。

出身が鎌倉とかで、若い頃は鎌倉吹奏楽団を立ち上げるのに一役買ったとか
フランキー堺(だったか?)と一緒にバンドやってたとか
いろいろ華やかな話を聞かされた。
また、女性関係もなかなか華やかだったようで
実は当爺バンドに所属してからも、ひと悶着起こしたことがある。

あんときは片方の当事者である彼女の実家の父親という方から
そのへんの事情を根掘り葉掘り聞かれて往生した。
彼女は結局居辛くなって(?)退会したのだけど
彼の方は何事もなかったような顔をして練習に参加していたのだった。

そのすったもんだの直後から、明らかな衰えを見せ始めたように思う。
そのうち、心臓がどうとかで入院し、何度か生死の境をさまよったらしい。
公民館まつりなどのイベントが近づくと、チョコッと練習に来て
なんとか身体を引きずって本番には顔を出した。

なにしろ、わがまま・自己中で好きキライが激しい方だった。
たった一人で盛岡なんかに来たのだもの、
きっと鎌倉でナニかあったに違いない・・などと
ワタシたちは無責任に話し合っていたものである。
しかし、田舎モン揃いの当バンドの中にあって
非常にお洒落でセンスのよい老人であった。
存在感は、いい意味でも悪い意味でも確かにあった。

いよいよ出棺というときになって、妹さんという方が
「好きなことをしてきて、好きなバンドのメンバーに見送られて
 幸せだったよねえ・・」とつぶやいた。
大好きだったコーヒーに砂糖を3袋、トロンボーンを吹くお人形、CD、
そしてトレードマークの帽子がお棺の中に納められた。



3年前の5月、トロンボーンのおじさんが自死した。
享年52歳という、惜しい死だった。
翌年の2月、やはりトロンボーンのおじさんがガンで逝った。
こちらも50代そこそこだった。
その2人を見送って、
「オレなんか真っ先に死にそうにしてて死なねぇんだよな」
などと軽口をたたいていた。

しかし、一番蒼ざめた顔をしていたのは
38歳のトロンボーンの兄ちゃんだったかもしれない。
 (ワタシより若いので、兄ちゃん)


おっしょさんが言ってた。
ミホトケは周く世界にその慈悲の手を差し伸べるんだって。
きっとYさんも差し伸べられた一人よ。
なんぼ俗世で好き勝手にして迷惑撒き散らしていたにしても。
いいところに行ってくださいまし。

合掌。









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