想
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彼女の「倫理観」は、今日のあたしを助けたのかもしれない。 だけど同時に、あたしにはちょっと強すぎた。
もし向こう側にいたのが自分だったら、と想う。 もしくはあたしだけしかこちら側にいなかったなら、と。 あたしは間違いなく、あの子達と一緒になって、悪びれもせず給料泥棒をしていたに違いない。 そればかりか下手をすれば、こんなチャンスを利用しないなんて馬鹿だ、くらいのことは思っていただろう。
そりゃぁ今日だって、「もったいない」とはちょっと思ったけど。
たまたまあたしのそばにいたのが彼女だったから、自分のずるさやだらしなさを抑えることができた。 彼女に軽蔑されることは避けたい、ほとんどその一心で、多分正しい道を選択することができた。
とても、「倫理的」な人なのだと思う。 (あたしは「正義感の強い」人だと思ったけれど、きっと「倫理的」のほうがぴったりくる。) あたしはお世辞にも倫理的に生きてきたとは言えないし、これからだって自分の価値基準を倫理的かどうかには置かないだろう。 だから、本当の自分は、諸手をあげて彼女についていくことはできない。
それでも、 あたしの気分がまだいまひとつ上向かないのは、 彼女の言動が気に障ったからではなくて、 彼女の言動にただ感心するばかりだった自分を情けなく思っているからだ、と信じたい。
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