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2003年09月06日(土)  貧相な脳味噌の限界の中で

考えるべきことは、2つしかない。
締め切りで言えば、
少し先のことと、
その、もう少し先のこと。
何も問題はない。
ただ、考え始めればいいだけのこと。
それが、できない。
考え始めようとすると何かが空中分解して、
考えがひとつにまとまらない。

 考えることが、面倒臭い。具体的に何かを考えるということが、面倒だ。とにかく面倒だ。何かを考え出すということが、面倒だ。与えられたものを噛み砕いて消化していくということが、とてつもなく楽なことのように思える。
 しかしそれは、そう「思える」だけのことだとわかっている。与えられたものに不満を感じ、その不満を正面切ってぶつけるだけの気力も無く、ただ脇へ置いて見ないようにするだけのことだ。その只中にいるときには。
 終わってしまえば、脇に置いてあったはずの不満は、どこかに消えている。いつもそうだ。完全に過ぎたことは、たいてい不満を含まない。

 今は、たまたま、目の前に置かれた問題が、受け身になっていては解けないという、それだけのことだ。不満を横へ押し退けることはできた。そもそも、不満を言わない方が体力を使わなくていい、それだけのことかもしれない。あるいは、不満を招くようなこの事態を、自分が積極的に作り出したから、不満が起きる余地も無かったのかもしれない。とにかく、考えなければならないこと自体に、不満はない。
 今回の問題は、そういうことではなかった。自発的に考える、ということの難しさ。自分で与えたテーマに、自力で形を与えていくということの困難さ。ここで考えて決めたことは、すなわち、少し先の自分がやらなければならないことになる。・・・違う、やることは別にいい。問題ない。考えることそのものが、先へ進まないから困っているのだ。考えてしまえば、体を動かせばいいだけ。それもきっと面倒臭いと思うのだろうけれども、今の面倒臭さに比べれば、大したことはないだろう。

 何しろ、アイディアがない。それが困る。浮かんできた考えを形にすることは簡単だ。それはひとつの欲求でもあり、自然と体が動く種類のことだ。しかし、考えが先に進まないときほど、困ることはない。しかも、考えた内容は遅かれ早かれ人の前に曝け出さなければならない。
 せっかくだから、何か面白いことがしたい。
 最悪だ。
 面白いことが悪いことだなどと言うつもりは毛頭無いが(毛頭無いってことは禿ってことか)、面白いことを考える気力すらだいぶ失せてきている。最早、何から手をつけたら良いのかわからない。問題のネタ帳を(実際にはネタを考えているわけではないし、したがってネタ帳でもなんでもないわけだ。そもそもネタ帳というものはたいてい目には見えないものであって、手品のタネが目に見えたら面白くもなんともないというものだ。マギー司郎は手品が面白いのではなく、あの訛のきいたおっさんが面白いだけだ。みんな、騙され)
 話が逸れた。ノートを目の前に広げてまともに考えようとしてみても、何のいいアイディアも浮かばない。気がする。気がする、というのは、実際にその行動をとってもいないのにその行動に対する予測を行っている場合に使う言葉だ。つまり今だ。確かに私はノートを開いてもいないし、筆記用具を鞄から出してもいない。つまり、本気でその問題について考え始めるつもりなど毛頭無いということだ。禿のネタは先刻出してしまった。困ったな。
 ところで、私はマギー司郎が本当にトークだけで売っているなどとは思っていない。マギー司郎をブラウン管を介して見続けること数十年、いや、十数年、彼が偉大なマジシャンであるという事実に疑いを差し挟んだことなど一度たりともない。彼は、どこか間が抜けているように見せているが、本当に間が抜けている。いや、本当に間が抜けているように見せるのが上手い。テクニシャンなだけだ。いやらしいなぁ、テクニシャンて言葉。そんな感想を微塵も気にかけないほど、彼は間が抜けている。もとい、そんな感想に誰も耳を傾けないくらいに、彼のマジックは素晴らしい。ヘボい上にタネも仕掛けもバレバレなマジックを見せる。その後に少し見栄えのある芸を披露する。なんだ、この人本当にマジックができるんじゃないか。しかも、今のマジック結構すごいじゃん。それは大衆の錯覚である。人間の心理作用につけこんだ欺きでしかない。しかし、全てのマジックは所詮、錯覚である。いかに観客の目を欺くかというところに、目的があり技がある。そんなマジックを飯の種にしているのだから、ステージの構成をモノにしているマギー司郎は、偉大だとしか言いようがない。ごめんなさい。本当は、マジックだけだってすごいことはわかってるんだ。司郎さん、あなたは本当に僕のヒーローなんだ。心の中のトップ・エンターテイナーなんだ。これは僕のささやかな反抗でしかないんだ。僕ではなく‘審司’を弟子として一人前に育て上げたことへの。
 話が逸れた。この話の逸れっぷりを見ても、私がいかに本題について頭を悩ませているかが窺えるのではないかと思う。何の関係もない話のために何分もキーボードを叩いてしまった。何が「ところで」だ。本題に入りたくないだけじゃないか。こんなの逃げだ。ただの逃げなんだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃダメだ。
 まずい。このままでは本当にただの廃人になってしまう。いくらシンジが羨ましくても、自制心を失ってはまずい。

 今日はこの後シャワーを浴びて、初めての訪問先を訪れなければならない。できるだけ、変でない人間を装うのだ。ハイビスカス・ティーでも飲んで、気分を落ち着かせることにしよう。



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今日、清水義範の『虚構市立不条理中学校』を読み終えた。講談社文庫の。
面白かったが、後半はテーマが重く、一気に読むには体力が要った。

趣味の読書に体力使う前に、仕事しろ。


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なぜ僕の部屋がこんなにも汚いのか。
僕がだらしないから。自己管理能力がないから。
大事なものを増やしすぎるから。
手に入れたものを捨てられないから。
手に入れたいと昔願ったものを棄てられないから。


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