現在午前0時00分。 親父の62歳最後の日が終わった。 今日で親父は63歳。 もしかしたら、親父の人生最後の誕生日になるかもな。
今日、母親は俺にケーキを買ってきてほしいと言った。 JR大阪駅がそのままDAIMARUになっているのだと聞いた。 そこで親父の分、母親の分、俺の分、弟の分、合計4個ショートケーキを買ってきてほしいとか。 ロウソクも1本付けてほしい、との事。 忘れないようにしよう。
現在午前0時11分。 昨日あの子に昨日の告知の事をメールで送っていたのだが、あの子から返事が着ていた事に今気が付いた。 「お父さん、凄いね! 『希望を捨てたくない』って...凄いことやと思います。 その言葉にはお父さんの強い思いが込められてる。 命を懸けたその言葉はリュカさんや家族へのメッセージです... お父さんの強い信念を感じる。 そして、リュカさんや家族を守る為に(涙) きっとお父さんは仕事のこともやり遂げて 抗がん剤治療に挑まれると思います。 お父さんの思う願いが全て上手くいくように ずっと祈ってます。 リュカさんと家族のことも...」と。 俺は、 「前にメールで言ったと思うけど、出来るだけ苦しみを無くして死ねるよう、専門的な病院があって、そこでの治療を勧められた事もありました。 前に先生から。 でも、それは希望を捨てるって事で、俺個人としては希望は捨てたくないって思ってました。 今日、親父の口から俺と同じ言葉が出たのは少し驚きました。 親父の『会社に引継ぎしたい』ってのも、俺らを守りたいって気持ちもあるのかな。 なんか、親父の会社って自転車操業って言うか、あちこちから金を借りまくって、その金で仕事を請け負って利益を出して、またあちこちから金を借りまくって、の繰り返しみたいなんだよ。 下手したら、借金だけ俺ら家族に降りかかって、利益の方は親父の会社のナンバー2の人に総取りされる可能性があるそうです。 そういうのを避ける為の『引継ぎだけはしっかりやりたい』でもあるのかなってちょっと思いました」と返答。
現在午前0時32分。 「SPEC 翔」を最後まで観た。 今回も真犯人当てに正解した。
昨日はジャンプを読み終わってなかったから買わなかったけど、今日はマガジンを買うのを忘れないようにしよう。 現在午前0時46分。 今日はそろそろ寝ようと思う。
現在午前1時12分。 あの子から返事が着た。 「ほんまやね。 リュカさんとお父さんの思いは一緒b 心で感応し合ってるんやと思います。
現実は家族にとってつらい選択を突きつけられることばかりかもしれへんけど 希望を捨てないと言ったお父さんの強い言葉は 家族や医師をも励ます結果になる。
会社のことや仕事のことは、僕のような者には解らへんから何も言われへんけど。 ただ、そのお父さんの周りの人(そのナンバー2?の人も)が気になる... そのナンバー2の人って、男の人やんね? その人と仲のいい人とか(女の人とか)お父さんに散々、世話になってるのに金にまつわることで人が変わってくような...」と。 俺は、 「そうかもしれないね。
やっぱりそう思う!? 俺も会社の事とかよく分からないから、親父への会社のやり取りとか全部弟に任せてるんだけど。 そのナンバー2の人、Tさんって言う大阪の人なんだけど、弟曰く『Tさん、会社の利益は得たいけど、借金背負う事には抵抗あるっぽい。大阪の人ってあそこまで自分の事しか考えてへんもんなんかな?』って言ってた。 あと、めっちゃ良い人っぽいんだけど、親父の会社には一番の古株のNさんっていう女の人が居ます。 その人とTさんの2人が、親父が死ぬこと前提で親父に内緒で弟と裏で会社の事とか色々話し合ってるみたいです。 Nさんも裏切ってくるのかな?」と。 続けて俺は、 「もう寝る前の薬飲んでしまったから。薬が効いた状態でメールしたり日記書いたりすると、普段思いもよらない恥ずかしい事を書いてしまったりするので、今日は寝ます」と。 あの子は、 「おやすみなさい。 気にさせるような余計なこと言うてしまって...ごめん」と。 俺は、 「そんな事ないよ。 Tさんが男だって事も、親父に散々世話になってる女の人が居るのもドンピシャです。 もしかしたら△△(あの子の名前)の助言で会社がらみの惨事が防げるかもしれない。 たよりにさせてもらいます。 また何かあったらメールさせてもらうね。 おやすみなさい」と。
今日は午後12時前に目が醒めた。
この前病院で母親に「××(弟の名前)に子供生まれたら、どう接してええか分からへん。めっちゃ緊張すると思う」と話した。 すると、母親は「千原兄弟の弟も、お兄ちゃんに子供出来た時『どう接していいか分からへん』って言ってた。でも今では甥っ子の事が可愛くて可愛くてしょうがなくて『もう自分は子供要らんわ。甥っ子だけでいい』って思ってるらしいで」と。 俺は「俺、子供の可愛がり方とか分からへんし」と。 母親は「可愛がらんでええやん。ただ普通にしとけば。虐待さえせえへんかったら」と。 俺は「俺も虐待されて育ったからな」と、そっから虐待に関する愚痴になった。
現在午後14時32分。 病院に到着。 DAIMARUでケーキも買った。
現在午後21時24分。 病院から帰ってきた。 ケーキ屋じゃ、普通のショートケーキ、チョコレートケーキ、モンブランケーキと、あと一つ適当に苺ロールみたいなケーキを買った。 母親は「ちょうど私がDAIMARUで買ってきてほしいと思ってた店のケーキやわ、これ」と言った。 じゃあ、ちょうど良かったんだな。 その店のケーキに決める前に、他にも2つくらいの店を見たけど、どっちもケーキが小さかったので、最終的にその3店目のケーキ屋で買う事にしたのだ。 病室に入った俺は、親父に「誕生日おめでとう」と言った。 親父は「ありがとう」と言った。 午後18時になり、親父の夕食が始まった。 いつもは殆どごはんを食べない親父なのだが、今日は何か頑張って色々食べてたな。 嫌いな酢の物にも箸を付けていたし。 夕食が終わり、ささやかながらも親父の誕生日会を開く事になった。 俺は「親父、どれか好きなケーキ選びや」と言い、親父は「選ばしてくれるんかw」と笑った。 俺は「そりゃ誕生日なんやし、今日の主役なんやし。でも、子供の頃はいっつも俺が一番最初にケーキ選びよったけどな」と。 親父は苺ロールを選んだ。 俺が買う時、一番適当に選んだやつだ。 値段も280円で一番安いやつだったと思う。 でも、親父はそれが良いみたいで、それを選んでた。 ケーキにロウソクを刺し、そのロウソクに俺が火を付けて、電気を消して、そして母親がデジカメで写真を撮って、親父がロウソクの火を吹き消して(肺活量が無いのか、なかなか火が消えなくて、親父は3.4回息を吹いてた)、それで俺がパチパチパチパチと拍手して、電気を付けてケーキを食べてジュースを飲んで、誕生日会は終了した。 ちょうどそのケーキを食べている時、城崎の伯母の息子のT君という俺の12歳上の従兄から親父に電話がかかってきて「誕生日おめでとう」と言っていた。 結局、弟は今日は病院には来なかったな。 弟用にもケーキを買っていたけれど。 そんな感じ。 午後20時になり、面会時間が終わったので、俺は家に帰ってきた。
ごはんをよく食べるようになったからか、親父の点滴が外されたんだよな。 もう、点滴はしないそうだ。
昔、何かのドラマで意地悪な姑が出てくる話があって、その姑を旦那(姑から見たら息子)がDVで殴ったり蹴ったりしまくるというのがあった。 事あるごとに旦那が自分の母親を殴る蹴る。 それを観て笑いが止まらなくなってしまった事があった。 母親に「あんたってほんまに可哀相やな」と言われたのはその時かもしれない。 「不条理な暴力」が俺にとって笑いのツボになってる部分があると思う。 俺自身、不条理な暴力を受けて育ってきたけど。
現在午後23時53分。 親父の誕生日が終わるまで、あと7分だ。 もしかしたら、親父にとって最後の誕生日になるかもしれない。
ちなみに、今日俺はモンブランのケーキを食べた。 母親がチョコレートケーキで。 弟に残されたケーキは、一番スタンダードな苺の乗ったショートケーキだ。 母親によると、いつも弟はモンブランを食べるのを避けるのだそうだ。 弟はモンブランが嫌いなのかもしれない。 だから、今日俺はモンブランを買って病院に行った。 親父にしろ母親にしろ、ケーキを買う時は「いつもモンブランを買っている」という事だから。
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