日々の戯れ言

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(えもしちより) 

2002年01月22日(火)  ある女性の話

今日聞いた、何ともやるせない話。
小樽のある会社が、ハローワークにパートの募集をかけたと思いねえ。もちろん、募集を出したのは、小樽のハローワーク。そこに、伊達の女性が応募してきたというのだ。
北海道の地理をご存じの方はすぐにおわかりと思うが、小樽は日本海側の石狩湾に面している。一方伊達は、噴火湾つまり太平洋側に面している。直線にしてもその距離約80キロ。途中には峠がいくつもある。
面接官がびっくりして「伊達から通うんですか」と聞いたところ、女性は「採用されれば引っ越してくる」と言う。
彼女は、二年前の有珠山噴火の被災者だったのだそうだ。離婚して一人、つい最近までは地元で仕事をしていたが事情があって辞め、次の仕事を探してみたが、地元では仕事がないのだという。それでも食べていくためには働かないわけにはいかず、地元で仕事を探すのは諦めて、「仕事があるところに引っ越す」ことにして、遠い小樽の募集にも応募してきたというわけだった。
面接の後、彼女は低所得者のための宿舎を見に行くと言ってその会社を後にしたのだという。
離れたところに暮らす者にしてみれば、災害は過去のものだと思いがちだけれども、被災者にとっては、あのときから続いている今のことなのだなと、ちょっと思い知らされた話だった。




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