仕事後、銀座。アケミちゃんからのチケットその2。映画「ぐるりのこと。」を観る。けっこう辛い感じのシーンがあるのかなと思ってたんですが、いつもどっかから陽が差し込んでるようなシーンがいっぱいでとても良かった。
結婚をした夫婦とともに10年間の日本の社会的な事件が振り返られていって、それぞれ重い事件だったんだけど社会のことが挟まれて進んでいくことで、逆に夫婦のシーンだけで作品が重苦しくなることもなかった。役者でなくリリー・フランキーが演じていることがとても大きかった感じが。何とかしようとするでもなく、ただ横にいて飄々と見守ってくれているという存在感は、演じてできるようなものではない感じだった。何もしないでそこにいる、という佇まい。たとえば、普段から協力的で問題が起きたときには何とかしようとしてくれるけど駄目かもしれないと思ったときには逃げ出す夫と、普段から何もしてくれなくて、問題が起きたときにも特に何もしないけど逃げない夫、というまあパターンでは分けられませんけど、そういう何でもない時には見えてこない弱さや強さが人と向き合うと見えてくるものだなあと思う。

人や社会と向き合うことで見つけられるものや乗り越えられるものや学べるものが何と多いことか。自分にその気さえあれば。受け入れる覚悟があれば。といっても先のことが見通せる人間などいなくて、いるとしても本人がこう決めた、というだけの事で全ては時間と一緒に流されて常に変化しながら、とはいえ何かを積み上げたり時々全部なくしたりを繰り返しながら適当にバランスをとってやっている。
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