WELLA
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1998年07月30日(木) Sweet Home(2)

水漏れを直すために水道屋がやってきた。
念のため夫も昼休みを利用して家に戻っている。水道屋は親方と若い衆の二人組。玄関のところで靴を脱いでもらうと、二人とも靴下に穴が空いている。自宅以外で靴を脱ぐ習慣のないこちらの人々は靴下の色が違っていたり、穴が空いていたりすることが多い。
結局洗濯機に水を送る元のパッキンが古くなったのでこれを取り替えるだけだ、という。それでこんなに深刻な水漏れが起こるものだろうか?ずいぶん食い下がってみたが「そういうわけだ、OK?」といわれるので了承することにする。これで水が漏れたらまたすぐ来てあげるから、と言われて送り出す。ま、いいか。

金曜日にカーペットのクリーニングが来ると大家さんから連絡があったというので、また夫と共に待っていると大家さん本人が現れた。この手の食い違いは多い。今日はカーテンをクリーニングに出すので外しにきたのだという。カーテンを外しがてらかびた天井を見てもらう。大家さんはとても天井を直視できないわ、といった。そりゃぁそうだ、こんなに色とりどりなんだもの。
結局カーペットのクリーンニングは、さ来週の月曜日に来ることになった。ちょうど両親が遊びに来るときである。その日は都合が悪いと伝えると、短時間で終わるし、もっと早い時間にもできるという。もっと早くして欲しい、というと「聞いてみるわ」との答え。あれ?できるんじゃなかったのか。
数日後大家さんから電話がかかってきた。カーテンをクリーニングしたら、いたんでいるところがあったので、それを修繕するかどうかチェックするのだという。またも大家さんのお出ましである。
大家さんは今度はカーテンと共に現れた。しばらく世間話をしながらカーテン屋を待つ。カーテン屋が来たらしい。玄関を開けると、絵に描いたような営業スマイルの男性が直立不動の姿勢をとり、「こんにちわ!カーテンの○○サービスです!」とさわやかに挨拶した。珍しいものを見た思いで中に招じ入れる。
大家さんとカーテン屋は早口で話をしているので、なんとなく横でボーッとしていると、ふと私に気づいたように「すみません」と謝る。こっちばかり話をして申し訳ないなどと言っているらしい。カーテン屋はざっと見積もりを出して帰っていった。大家さんは「家に帰って夫と相談してみる」というので、こちらは別にカーテンの傷は気にならないと伝える。もう誰かがくるのは面倒くさい。

7月に入って語学学校に通うことにした。教育実習生の練習台として無料レッスンがあるのだ。毎日1時間半。これはお得である。が、意外とこれが忙しい。授業が始まるのが夕方の4時近くなので、中途半端に時間がつぶれる。
語学学校が始まって二日目、朝電話がかかってきた。大家さんが呼んだ天井の修繕の人らしい。今日の夕方様子を見に行くよ、ということなのだ。夕方6時以降に来てくれるよう頼む。
その日は午前中が「病院のピアノ弾き」の日で、朝慌ただしく家を出ようとしたとき、何気なく内側のドアの鍵穴に鍵を挿し込んでしまった。そのまま抜き取ろうとしたが、鍵が抜けない。何度もためしたが結局埒があかないのでそのまま鍵を内側に挿したまま、出かけることにした。弱り目にたたり目である。ドアの鍵は2つついているので、もう一つの鍵をかけて出かければまあ問題はないのだろうが、気が気でない。ここは閑静な住宅街なのだがコソ泥が多いのだ。
はぁ〜。「病院のピアノ弾き」を終えてボランティアコーディネータのグレンダさんの車で帰る途中、ことの顛末を話して大いに同情してもらう。彼女は「一番恐いのは錠を壊してしまうことね」という。彼女は車のエンジンを切ってキーを抜こうとして抜けず、結局錠を壊してしまってキーを取り替える羽目になったという。車のキーの取り替えは、ドアから給油口からトランクから総てになってしまうので高くつく。彼女はそれを嫌って、エンジンをかけるためのキーと、ドアを開け閉めするためのキーの二つを持つことになったそうである。この人も大物だ。泣き言を聞いてもらってなんとなくすっきりする。が、事態は少しも改善していない。
語学学校のほうは、夕方5時15分に授業が終わるはずが、大幅に延びてしまった。学校から飛出すようにしてバス停に向かい、来たバスに急いで乗る。たいていバスは町の中心で時間調整をするので、その時間を惜しんで中心街でバスを降りる。と、この便は時間調整が必要なかったらしく、すぐ出発した。あーーー。雨まで降ってきた。くやしさを早足で紛らわす。
あと少し、というところで道を聞かれる。スペインなまりの強い少年である。自転車に乗って街の中心地にある映画館へ行きたい、という。肌身放さず持っている地図「Cambridge A to Z」を見せて、方向が全然逆なことを教える。

家に帰りついたのは、6時を少し回っていた。天井屋はすでに来たのだろうか?
もう一度挿しっぱなしの鍵に挑戦する。何度かガチャガチャやっていたら、何事もなかったかのようにスルリと抜けた。しかし喜んだのもつかの間、よく見てみると、鍵が抜けるのは鍵がかかった状態のときだけであることがわかった。このドアは一応オートロックの体裁になっているのだが、厳密に言うと施錠するわけではない。外側にはドアノブがついておらず、鍵穴に鍵を挿し込んで回すとそれがドアノブの機能を果たすようになっている。だから内側から鍵をかけてしまうと外からは開けられなくなってしまうのだ。 事態は一向に改善されていない。

ドアのところで鍵をいじっていると天井屋がやってきた。彼は30分ほど遅れてやってきたことになる。天井屋は私がいじっている鍵を見て、「貸してご覧」というように鍵を取り、鍵穴に挿し込んだ。
…と、今度こそ鍵が抜けなくなった。鍵をかけた状態にしても抜けない。どうやっても抜けない。
天井をチェックすると、これは大したことなく終わるらしい。おそらく午前中いっぱいでできるだろう、という。金曜日に来るという。確かその日は大家さんが来る予定である。今度はガス屋が暖房器具の修理にくるのでそれに立ち会いに来るのだ。それはちょうどいいと答える。
天井屋は再度鍵に挑戦したがやっぱり抜けない。鍵はもう一つあるからいい、というと結局あきらめて帰っていった。

天井屋が帰った後、再度鍵をいじる。空しく鍵を回したり引っ張ったりしていると、鍵が抜けた。ほっとする間もなく、錠の部分がぞろぞろと一緒に抜け落ちた。あたりに部品が散らばる。
どうやら完全に壊してしまったようだ。


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