昨日、夕刻、職場の自席にて。
声をかけられたので
振り返ると、
職場の男性が
左手に握り飯、右手に吸い物の椀を持って
背後に立っている。
仕事に多少関連した話題を振られて話しているうちに、
会話の焦点が、なぜか、
古き良き映画音楽に対する回想へとずれていき。
某有名恋愛映画の主題歌を唄おうとした彼が、
頬張った握り飯をずるずると汁で喉に流し込み、
勢いよく口ずさんだのは
「だーだだだだーだだーだだえまにゅえーる」
それって……。
「あ、違った。これじゃ『エマニュエル夫人』だ!」
…ですよねぇ?
稀代の官能フランス映画ですよねぇ?
みたことないんです、
というと、
勧められた。
「エマニュエル夫人」の官能性にみられる加虐精神と被加虐精神について
ひとくさり、濃厚バターみたいな講義を拝聴しながら、
吸い物の出汁のにおいも、しみじみとのどかに漂って。
この上なく、ゆかいな闇鍋風だなぁ。
なんじゃぁ、
この食べあわせの悪さ。
なんでもなかったように
彼は去っていったが、
私は、和洋折衷の着地点を探りそこねて、
イチゴが食べたくなった。
素朴な素材の味がする映画を希求。
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