渡瀬君は今2つの大きなプロジェクトに参加しそこでプロジェクトリーダーを務めていた。彼はその2つのプロジェクトの概略と状況とその後の見通しをそれぞれ簡潔に語った。私はそのプロジェクトの実態は全くわからないが、その話しぶりから渡瀬君にプロジェクトを任せれば安心だなという印象を持った。そして渡瀬君と比べてしまうとひときわ山下は仕事ができないように思えた。その思いが根底にあったのだろう私は渡瀬君の話に何度も頷き、何度も褒めた。
渡瀬君は首を少し振りながら言った。 「いやいや僕なんてまだまだですよ。それより山下は偉いなと思うんです。相手が偉くなればなるだけ自分を安くしちゃうのが人間じゃないですか。山下はそれがないんです。たまに拘り過ぎてる場合もありますが、その姿勢は偉いと思うんですよ」
私は、これは本心なのかと疑ったが、場の状況をみて謙虚に言えるところができるなぁと感心してしまった。逆に偉い人にもスタンスを変えないから山下は出世しないのだ。(もちろんそれだけでもないが) そして、彼はたまに拘るのではない、いつも拘っているのだと訂正できたが辞めた。
山下は私たちのやりとりの横で何も言わずにちびちびお酒を飲んでいた。私たちの会話をBGMにして別の何かを考えているように見えた。
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