その大会が終わった夜の事だ。 いつものように訓練を兼ねて速く寝ようと私は布団の中に入った。
1・2・3・4・5・・・・ ん?あれ?眠れないぞ。どうしたんだ。いつもは3秒前後のはずだが。 こんな事ではオリンピックどころかスネオにバカにされてしまうぞ。 おもちゃも貸してくれなくなるぞ。うぅどうしよう。
あっそうか本を読もう。 今読みかけ中の村上春樹の「TVピープル」を読もう。
ふむふむ。ふむふむ。ふむふむ。 ねむねむ。ねむねむ。ねむねむ。
なんて、うまくはいかないね。 結局短編を一つを読み終えてしまったではないか。
「さて、どうされますかシバヤマクン?」 腕を組んで見下げているのびたの声が意識の彼方から聞こえる。
「くっ、どうすべきなんだ。」私はこぶしを握りしめた。 こうなれば古典的な作戦でコテンといこうじゃないか。
とうぜん古典的な作戦とは羊を数えるのだ。 こういう時こそ王道である。急がば回れだ。 ヒットラーもこの作戦を用いユダヤ人を寝させて、毒ガスで一気に始末したというではないか。
だがただ数えるだけでは面白くない。 私はそう考えおもむろにペンと紙を用意した。
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