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2001年11月16日(金)    木工作家 勝水喜一さん

今日は、昨日紹介した『East Side』という雑誌に関連した話。

初めて手にした『East Side』第2号の中の「Art&Breeze」というコーナーで、
木工作家の勝水喜一さんが紹介されていた。

釧路市に生まれ、現在は阿寒町に移り住んで10年くらいの家具職人の方である。
今年の2月に道東に行った際、とある店で勝水さんの作った机を見て&触れて、
その直後に『East Side』で勝水さんの記事に出会った。

東京造形大学デザイン科卒業後、住宅・店舗・家具等の設計業務に携わり、その後
岐阜の技能専門校に入学して、大工を志す。93年阿寒町に麓工房を設立。以後、
東京・京都・札幌等で個展開催。96年札幌芸術の森クラフト全国コンペ金賞受賞。

一目見た時から、ものすごく印象に残る素敵な家具だと思った。主に廃材になる
木を使って家具作りをしている。勝水さんの作る家具には、素材として使われた
元々の木が持っていた生命が、吹き込まれているように感じる。そんな力強さと
優しさを併せ持つ素敵な机を、いつか自分も作ってもらうことができたなら、
きっと私は一生大事に使い続けるだろうと思う。

そんな勝水さんの、阿寒町にあるという工房を、いつか機会があったら見に行って
みたいと思っていた。それが、今年の9月の旅行で叶ってしまった。

釧路に着いたばかりのその日9/1は、あいにくの雨模様だった。
お互い何度も釧路に来たことのある私たちは、多少時間を持て余しながら、少し
早めのお昼を食べに、2月にも訪れた鶴居村の焼肉屋ピット・インに向かった。
勝水さんの作った机が使われている店だ。もちろん肉も素晴らしく美味しい。

そして、店内で勝水さんの記事の載っている『East Side』第2号をふと見つけて
しまったのが運のつき。連絡先の電話番号をメモして、店を出た後に勇気を出して
電話をしてみたというわけ。

突然電話して(道に迷いながら)尋ねて行った私たちを、勝水さんは普段の素の
ままで、でもとても丁寧に出迎えてくれた。ちょうど作業の途中だったのだ。
勝水さんの工房は、ごく普通の自宅の脇に建てられた農作業用の小屋のような
外観をしていた。工房は2つあって、1つは実際の作業場。現在製作中の家具を
作業台の上でひっくり返したりしながら、丁寧に説明してくれた。

もう1つの工房は、中に入るととても居心地の良いアトリエのようだった。
勝水さんと親交のある方々の写真や焼き物などが、壁や窓際に飾られていて。
聞けば、その2つの建物は、どちらも勝水さん本人が自分で建てたという。

アトリエのような工房の方は、断熱材が使われていて、既に肌寒い季節へと突入
していた外の空気とは違って、中はとても暖かかった。その工房で、コーヒーを
出してもらい、2時間近く話していたと思う。といっても、Kin・chanの撮る写真の
話とか、勝水さんの家具に対する話とか、どれもたわいのない話ばかりだった。

芸術肌で人見知りをする人かな?なんて思っていたら、そんなことはない。
人が好きで、話をするのも大好きな、とてもバランス感覚のある人だと思った。
ふいの私達の来訪で作業を遅らせてしまっただろうと思うと、なんだか申し訳なく
思ってしまったけれど、でも、とても楽しい一時だった。去りがたいほどに。

〜 阿寒に暮らして8年になろうとしている。僕が立木を指差して手に入れたのは、
  いまのところ一度きりのことである。主に等級外の丸太を使い、椅子やテーブルを
  創っている。生活の道具であるということを大切にしながら、どれだけそこへ
  メッセージを込められるのか。頂いた命に対して礼を尽くして行くことは、今ここで
  自分が真剣に生き抜いていることに他ならない。この時代にどんな視線で社会と
  関わりを持っているのか。僕は矛盾の中に身を沈めながら、正々堂々と今日を
  見つめて行きたい。〜
  (『East Side』第2号本誌より一部転載・088P〜093P)

来年の2月にも、また鶴を見に、そして勝水さんに会いに阿寒町に行きたいねぇ
とKin・chanと話す日々。今月末には、全日空の9日間連続の超割が発売される。


↓ 興味が湧いたら、ぜひ覗いてみてください。

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