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2001年09月30日(日)    再び 「風になった日」

高橋尚子選手が、ベルリンマラソンで世界新記録を出して優勝した。

TVでマラソンの中継をしているのは知っていたけれど、あいにくKin・chanが
体調不良で休んでいたので、生中継を見ることもなく夕方を迎えた。
夜になって、すっかり復調したKin・chanがTVをつけて、「あっ、高橋尚子が
世界新で優勝だってさ!」と話しかけてきて、結果を知った。

昨年のオリンピックの後、高橋尚子選手は8kgほど太った時期があったらしい。
ニュース番組で映された"8kg太った高橋選手"は、たしかに顔がまん丸だった。
しかし、一年で体重を元に戻し、直前の4ヶ月はボルダーで走り込んでの出場。

オリンピックで優勝した後の初マラソンは、想像以上にプレッシャーがかかって
いたんではないかなと推察する。それを乗り越えて、世界新記録での優勝。
いや、むしろ、それは杞憂か。インタビューの内容を聞くと、彼女にとっては
シドニーとベルリンでは達成すべき目標が違ったのだから。今回は、シドニーで
果たすことの出来なかった"世界新記録"が目的だったのだから。

それにしても、走り終えてもアッケラカンとしてインタビューに答える彼女は、
天性のランナーなのだろう。何よりも走ることが大好きで、それでいて夢や目標を
達成するために日々の努力を怠らない彼女の姿には、脱帽してしまう。

昨秋、高橋尚子選手がシドニーオリンピックを振り返って著した本を読んだ。
  「風になった日」  高橋尚子;著/幻冬舎

この本を読むと、彼女が負けず嫌いであると同時に、楽天的でユーモラスである
ことが分かる。何より自分の周りにいる人々(特に小出義雄監督)に心から感謝
しているのが伝わってくる。

〜監督と出会って、この4年間の時間の中で、私の人生は変わったし、人は
  変われるものなのだと、本当に実感している。「自分はもう年だから」とか、
  「私は就職しちゃったから」とか、そんな諦めはまったく必要がない。
  私のように弱い選手でさえ、夢や希望をもって頑張るだけで、こんなにも違う
  人生を味わうことができるのだ。夢をもって頑張れば、必ずかなえられる。〜

大事なのは、彼女は、"天性のサラブレットで小出監督に気に入られた"わけでは
なく、自ら監督にアピールしにいっていることである。入社時も、入社後も。
そして、入社後も、すぐにチャンスが来たわけでない。有森選手がいたのだ。
しかし、彼女は諦めなかった。少しの時間でも自分に時間を割いてくれた監督に、
不満をぶつけるどころか、感謝していた。

よく「チャンスの神様は前髪しかない(後ろ髪がない)から、来た!と思ったら
すぐに捕まえないとならない」と言うけれど、彼女は、まずチャンスが来るまで
諦めずに辛抱強く待ち続け、そしてちゃんと捕まえた人なんだなぁと思う。

諦めないことも大事だけれど、夢や希望をもって頑張り"続ける"ことが難しい。
言うは易く行うは難し。そんな彼女が、再び風になった日を迎えてくれて嬉しい。


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