えびたま

2019年03月20日(水) 生活者の演劇を長年やっている

短距離男道ミサイル「父さん、晩年というのかいこれは」観る。
これまでの太宰治シリーズ同様
劇団員の一人の半生にスポットをあて、
地方演劇人としての、泥沼のよな生活苦をネタにしてたけど、
今回は構成・演出のサワノくんが主人公のようだった。

なんの予備知識も持たず観てたけど、
そのサワノくんが、どうもこの公演を機にお芝居をお休みする
ということらし。
ものすごく驚いた。そしてものすごく勿体無い。

いつも通り、笑って笑って楽しめたけど
終盤は客席で多くすすり泣きが聞こえた。
自分の決意なり、人生の転機を舞台で宣言するのは
それなりの覚悟で上演したのだなと思う。
だから、その決断に人がとやかく言っても仕方がない。
すごく勿体無いし、すごく惜しいけど。

何かお芝居以外の仕事もやってるんだろなとは
思うのだけど、どっぷり浸かるよな関わり方じゃないと
ミサイルは続けていけなかったんだろな。
子供も生まれて、いろいろ考えたんだな。

仕事が欲しいと言うのは芸術家ではない、生活者だ。
と、
劇中、サワノくんは言っていた。
そして、自分は生活者になる、と。それでお芝居を休止する。

何が「芸術家」で何が「生活者」か、
わたしにはわからないが、
多分わたしは芸術家というよりは、生活者だろなと思う。
でも、だから芝居を続けている。
関わり方はきっと、サワノくんが創作をしている時ほど
深くはない。
それは多分、サワノくんの芸術活動とは違うんだろな。

あれだけ才能があって、結果も出しているサワノくんが
お芝居を続けていけない土壌、食えない土壌って
なんなんだろう。

twitterのTLでもかなりの話題になっており
その中に「自死を見た気分だった」という感想の人がいた。
そのくらい、観客に絶望を与えた舞台だったのだ。
同時に、残されるミサイルの面々の、愛情と希望も伝わる
感動的な舞台だったと思う。


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