秀作読んだ後の、この満足感と充実感よ。
テリー・ケイ『白い犬とワルツを』 新潮文庫。訳、解説、兼武進。
訳があんまり良くないかな。でもああいう風にしか書けないものなのかも知れない。 北上次郎大絶賛ー。 別にそれで読んだ訳ではないですが。北上次郎とは2/3の割合で、本の趣味は合わない(笑)。 でも、北上の引用文を読んだとき、ああ、これは私も持って行かれる話だ。と思ったので読んでみました。良かった。 (でもどうでもいいけど北上次郎の推薦文は相変わらず上手いです)。 もう、何とも云えませんね。ただ私は少し、若かったかも知れない。後、10年後に読んだら。これがどれほどの作品なのか、きっと判る。 ラスト30頁がとんでもなく秀逸。久しぶりにぼろぼろ泣きました。
家族の中にある、決して消化されることのない愛情という名の苛立ちが、うまいと云ったら不遜になるほどすばらしい。 社会に老人は沢山、いるけれど、自分達に身近な老人は多くなくて、その多くは親である。親も初めから老人であったわけではなくて、子供の目の前で老人になっていく。その扱いに周りは途方に暮れる。 頑固で融通の利かない父親に、子供達は辟易していて、微かにぞんざいにしていて、大きな愛情を持っている。けれど周囲の老人の姿や、雑誌の情報に、親に対してのものではなく「老人」に対しての行動と、理解を求めて子供達は振り回される。 父親は子供達をからかいたい。けれどもう、子供達はからかいと受け取らなくなっていく。 父親のことが心配でしょうがない。常にすれ違う、看護するものの無神経と、看護されるものの無神経。 すべて身近にある。今更、口にするでもない日常。 けれど人間は、特別なことは何もなく、等しく、消えていく。 座りながらその順番を、ひとは待つ日が来る。 その偉大なる孤独。
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