JIGOKUNOMISOGURA

2001年08月03日(金) 山田風太郎追悼。

すっかり恍惚のひととなった、死に損ないだったので、思ったよりショックはなかったです。
諦めていたし、覚悟もしていた。
そういった意味では本当に、ファンに優しい爺だったと思います。

ただこの人は、生きているだけでいい。と思わせる。数少ない作家でした。
書かなくても良かった。生きてるだけで安心してました。
安心が終わったな、とそれだけを思っています。

2,3年前、知り合いと山風の話をしていて、知り合いが「え!? まだ生きてたの!?」と吃驚していた事がありました。彼女の言によると。
「みんな、もう死んだ人みたいに絶賛するから、とっくに死んでる人だと思った」。
作家としての冥利に尽きますね。生きて伝説でした。

私としては、生存している作家の中で、こんなに純粋な意味での小説家はいなかった。こんなに純粋で傲慢な才能はなかった。小説を書くための才能で、想像力でした。天才とはこういうものを云うのだと思った。100%の完膚無きエンターテイナーでした。話を面白くするための過剰なまでのサービス精神も、欠片足りとも読者に媚びを売らず完成していた。何をしても許される作家でした。
「山風だったらつまらないはずがない」
が合い言葉でした。
山風は「宝石」出身です。デビュー作を読んだとき、乱歩は山風を見つけたとき、どんな思いをしたろう、と目もくらむように思ったことがあります。
乱歩は本格の人ですが、そんな事は関係なく、叫びだしたい思いに駆られたのではないかと思った。鬼がかった、悪魔のような才能でした。

生協が筑摩文庫15%オフのときに、勢い込んで揃えた「山田風太郎明治小説全集」をぼうっと見上げています。

どれだけ長生きしたら、またあれだけの小説家が出て来てくれるだろう。


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