ありふれた日常

2002年09月13日(金) 否応なく降り注ぐ曖昧な記憶

一年に一度はどうしてもその駅で降りなければならない。
駅に降り立った瞬間に、予想通りの軽い混乱とぎりぎりの記憶が
申し合わせたように、否応なく、やって来る。
その駅から次の駅に続く地下通路があった事を初めて知った日。
取り留めの無い会話をあの人としながら、遅くもなく早くもない
スピードで歩いたあの日。
あたし達は何故あんな場所で待ち合わせをしたのだろう。
季節はいつだった?
春?夏?…違うたぶん冬の少し前だ。
雪が降る前のひどく寒い秋?と言う事は、とても現実的に
一年前だったと言う事だろうか。
理解らない。
それから何処へ行ったんだっけ?
その駅からは地下鉄に乗らず、次の駅へ何を目指して行ったんだっけ?
既に記憶は恐ろしく曖昧だ。
間違いなく言える事は、あたしがいて、あの人がいた事。
もう決して後戻りなど出来ない場所で在ると言う事。
このふたつだけだ。


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