ありふれた日常

2001年06月13日(水) 手のひらの砂と唯一の事

「全ては間違えた事だったのかい?」

「さあね、どうだろう。」

「でも、仕方が無い事もあるんだ。それしか方法が見つからなかった。
 僕の心がじわじわと腐っていったんだ。
 それは少しずつ苦痛に変わる、、、本当に少しずつ。
 放っておくと取り返しのつかない所まで行ってしまいそうだった。
 君には理解るだろう?」

「仕方が無いのなら、仕方が無い。それでいいじゃないか。」

「だけど、、、教えて欲しいんだよ。誰かの言葉が聞きたいんだ。」

「ねぇ、もう遅いんだよ。全ては終わってしまった事なんだ。
 君の手を見てごらん。全ては砂のようにさらさらと流れてしまった。
 そして、それはあまりに小さく君の目には映らない。
 もう拾い集める事も出来ないんだ。」

「それは元々僕が繋げたモノじゃないか。僕には見えるよ。きっと見える。」

「じゃぁ、試しに探して見るといい。
 一度解けたモノを全て見つけ出して元通りにするには、莫大な時間がかかるんだよ。
 それにね、君は思い出さなくてはいけない。
 全て君が悪いんだ。君が選んだんだ。
 間違えだったかと問う位なら、初めから、しっかり抱いておくべきだったんだ。」

「、、、うん、、、僕にはもう手段が残されていないんだね。」

「君に出来る唯一の事は、こちら側からあちら側を見る事だけさ。
 それはもう手が届かないんだ。とても、、、とても遠い所にあるんだよ。
 それをただ。見るだけさ。」

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movie「傷だらけの天使」★★
nobel 村上春樹「ねじまき鳥クロニクル 第2部予言する鳥編」


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